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とぼとぼと1人で寂しく学校へ向かう。
やっぱ、リョーマくんがいなきゃ寂しいな、なんて思いながら歩く中。
雑談をする声が耳から脳に伝わってくる。それと同時に周りの視線が急に怖くなった。
『あいつひとりだよ』
『ぼっちだ、可哀想〜』
また始まった。幻聴?本物?
違うんだよ、違うはずなのに。
そんなこと言ってないはずなのに。
足が震えて動けなくなる。
お願いだからこっちを見ないでよ。
「A、どうしたの?」
後ろから大好きな声が聞こえた。
すっと体全身の力が抜ける。
「リョーマくん…朝練は?」
「寝坊したから諦めた」
彼らしい答えが帰ってくる。
それに安心をしたのか足の震えはもう無くなっていた。
「一緒に行こ?」
そう言えば彼はひとつ頷いて私に手を差し出す。
手を繋ぐってことでいいのかな?
彼の右手に私の手を添えようとした瞬間、
頭に昨日の先輩の声が響く。
"彼には気をつけた方がいい"
手を差し出すことをためらってしまう。
あれは結局どういうことだったのか。
あなたはなにかを隠してるの?
「大丈夫?」
目の前の彼は心配そうな顔をして私の顔を除く。考えすぎだよね?だって今もこうやって彼は優しくしてくれる。
手を掴むと嬉しそうに握り返してくれる。
気がついたら周りの視線なんてどうでもよくて、笑顔を見ると私も笑顔になった。
それが嬉しくてとても幸せだから。
「リョーマくん、大好き!」
ずっとこの時間が続けばいいのに…。
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2019年4月14日 23時