〇 ページ4
いつもの様にコートの外から男子テニス部を眺めていると、目の前に大石先輩がやってきた。
「最近いつも見に来てるよね?部活行かなくて大丈夫なのか?」
「あ、はい!やめたんで!」
先輩は驚いた顔をして「そうなんだ…」と呟いた。その表情が面白くてクスクスと笑うと、先輩は恥ずかしそうに顔を赤くした。
「越前を見に来てるんだよね?」
「え、はい、もしかして付き合ってることバレてる感じですか?」
「逆に隠してたんだ…」
皆知ってるよと先輩は苦笑いしていた。
みんなにバレてたのか…。
恥ずかしさのあまり顔に熱が籠るのがわかる。
「あはは、毎日来るならいっその事マネージャーやらない?」
まさかの副部長じきじきに言ってくださるなんて…。
「Aちゃんが入ってくれたら俺達も助かるし、何よりも越前の傍にずっと入れるんじゃないか?」
マネージャーをやれば確かにずっとそばにいれるかもしれない。
でも、たくさんの人と話すとか無理すぎる。怖すぎる。しんどすぎる。
それに…
彼女はベンチに座り再びコートに目を向けた。越前を愛おしそうに眺めている。
そんな幸せそうな彼女の姿をみて、不思議と笑みが零れた。
俺もそろそろ戻るかな…。
コートに着くとこちらを睨む視線が1つ。
「越前、その目やめてくれないか?」
「大石先輩…別になんでもないっすよ。」
さっきの見てたんだな。
面白くて笑うと越前はさらに不機嫌になる。
嫉妬か。
そんな甘酸っぱい響きがなんだか羨ましく感じる。
「さっき彼女をテニス部のマネージャーに誘ってみたんだ。そしたらなんて言ったと思うか?」
越前が首をかしげる。
分かっていないようだった。
『その誘いは嬉しいんですけど。私、リョーマくんのこと好きなんできっと特別扱いしたり、優遇しちゃいます。なので遠慮しときますね!』
だってさ、そりゃマネージャーなんて務まるわけないか。
そう言えば案の定、帽子の下を見れば顔を真っ赤にさせていた。
46人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みみみみみ | 作成日時:2019年4月14日 23時