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手を引かれて廊下を進んでいく。
彼女の悲しそうなそれでも笑顔な表情を思い出す。
なんで、そんなに辛そうな顔をしているの？
どうして私のことを助けたの？
彼女は私のことが嫌で、嫌いで、だからあの日から私を避けてたんじゃなかったの？
「リョーマくん…私は間違ってたの？」
そう言えば彼は驚いた顔をして振り向く。
間違ってたのは勘違いしていたのは私で。
彼女にはもっと別の思いがあって…。
「竜崎さんは…桜乃ちゃんはもしかしたら私のことを…」
気にかけてくれていた？
あれ、それならどうして…
『おチビも汚いことするよな〜、そのために竜崎さんのことを陥れるなんてさ！』
急に菊丸先輩の声が頭を駆け巡る。リョーマくんが、桜乃ちゃんのことを陥れた…。
もし、それが本当だとしたら。
冗談じゃないとしたら。
「あなたが、桜乃ちゃんを…」
その瞬間、私の体をリョーマくんの手が包み込む。
「間違ってない。何も間違ってなんかない。」
呟くと彼はもっと力を強くした。
「もし、Aが間違ってるなら、俺がそれを正すから。ひとりで決めようとしないで。どれだけ時間がかかってもいい。ずっとそばにいれるなら…」
その言葉でふと我に返る。
あぁ、私はいつの間にか彼を疑ってしまった。彼の思いを気づかない間に否定していた。
いつだってリョーマくんが私を守ってくれていたのに。襲われた時だって、周りに怯えていた時だって。それを間違ってるなんて言ってしまったんだ。
なんで大好きな彼を疑ってしまったんだろう。
彼の体を抱きしめ返す。
「ごめん、リョーマくん。私…ひどいこと言っちゃった。」
あの日約束したのに、ずっと一緒だって。
そう言えば悲しそうに微笑むから、その手が暖かいから、何もかもどうでもいいと感じた。
「大好きだから、ずっと」
「私も」
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2019年4月14日 23時
