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私はあの日から人を信じられなくなった。
私が小学生の時だった。
大好きだった友達に悪口を言われていることを知ってしまった時から
周りの声があの子達の話声が、なにもかも悪いことにしか聞こえなくなった。私は被害妄想が激しいのかもしれない。
こんな自分が嫌で嫌われたくなくて
周りの視線が恐ろしくて
悪く思われないように振る舞うことで必死だった。相手の行動に合わせることで必死だった。悪口に付き合って共感することで必死だった…。
声をかけられては愛想笑いの繰り返し。
みんな上辺だけの関係だと思っていた。
そんな時、竜崎桜乃と言う人に出会った。
彼女は何故か私のことを知りたがった。
彼女は誰のことも悪くいうことはなかった。
私はそれが不思議で仕方がなかった。
いつの日だったか。
教室のドアを開けようとすると、たくさんの話し声がする。
『Aってさ、媚び売りすぎじゃない?』
『ね!正直ウザイよね〜』
私の悪口だと1発でわかった。
つらつらと並べられるそれは私の心を蝕んでいく。今まで頑張ったことが全て無駄だと言われているようだった。
苦しい。
逃げ出してしまおうと足を動かした時だった。
教室から可愛らしい声が響く。
『そんなことないよ』
振り向くとそこには竜崎さんの姿。
『Aちゃんは優しくて、いつも相手のことを一番に考えてる。そんなAちゃんを悪く言わないで!』
本当に困る。溢れた涙は止まらなくて。
私はその言葉が嬉しかった。
その時から彼女と喋るだけで、そばに居るだけで、周りの声が気にならなくなった。何も怖くなくなった。笑顔を見るだけで幸せだった。
私はそんな彼女が大好きだ。
あの日声をかけてくれた時からずっと。
私を暗闇から救い出してくれた時からずっと。
『桜乃ちゃん、ありがとう』
そう言えば彼女は嬉しそうに笑うのだった。
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2019年4月3日 22時