濵田の場合 (ページ17)

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「ついたよ」

『ほんまや～』

濵田の部屋に入るのは久しぶりだった。
よくみんなで宅飲みしたり、夜通しゲームしに来たりしていたことを思い出す。

濵田は部屋に入るなりソファに体を預けた。

「ちょっと、ここで寝たら風邪引くって」

『俺はだいじょーぶやねん』

何が大丈夫なの、とソファからはみ出る足をペシッと叩いた。

それからグラスに水を入れると、濵田のところへ持っていく。

「なんで今日に限ってあんなにお酒飲んじゃうかな」

ほら、とグラスを差し出す。

体を起こしてそれを受け取ったかと思えば、濵田は口をつけることなくテーブルに置いた。

『やけ酒やん』

「…濵田？」

濵田の私を見る目があまりにも澄んでいて、目が離せなくなる。

『男の家に一人で来たらあかんやん』

「んー、まあ、濵田だし」

『……なめんなよ？』

「へ？」

ヘラっと笑っていれば、グッと手を引かれた。

見えていた世界がグラっと揺れて、天と地がどこにあるか一瞬で見うしなう。

気がついた時には、ソファに組み敷かれ、私の上にまたがる濵田は、いつになく真剣な顔で見下ろしていた。

「…酔ってる？」

ヘラヘラしない濵田に戸惑っているし、普段から想像できない強引さに、恐ろしいほど早く心臓が鳴っている。

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