青春 (ページ9)

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髙橋優斗ページ9

「おーーーい！！A！！！ちょ、待てって！！！」

ジリジリと照りつける太陽よりも暑苦しい私を呼ぶ声。

この声はきっと、

『うるさいよ優斗！！！』

「何でだよ？！俺がうるさいのはいつものことだろ？！」

そういうことじゃないし。

『………で、何？？』

「や、たまたま前にダラダラ歩いてるやついたからさぁ！一緒に帰ってやろうと思って！チャハッ！」

『………その笑い方やめたほうが良いよ』

「俺の笑い方を貶すんじゃねぇ！！」

野球部に所属する優斗。

いや、所属していた、優斗。

甲子園出場をかけた決勝戦。

県内の強豪校で有名な隣の町の高校との試合で、延長戦の上負けてしまった。

『今日から部活もう無いのか』

「そーなんだよね！勉強漬けだわぁ」

『頑張れーーー』

「お前さ、どこの大学受けんの？？」

『んーー一応決めてるのは…』

今の学力じゃ到底行けない大学。

それでも、行きたい学部があってどうしてもそこに入学したかった。

「めっちゃ偏差値高いところじゃん！！」

『そーなんだよねぇ』

「でも、Aならいける！！」

『そういう優斗は？』

「俺はあそこかなぁ」

優斗が挙げたのは都内にある有名な私立大学。

『……本気で言ってんの？』

「これから死ぬ気で頑張るって！！」

正直頭が良い方では無いんだけど、優斗ならいける気がするって思っちゃう。
元々弱小校だったうちの高校の野球部を決勝まで引っ張ったのは、紛れも無いこの優斗だったから。

『応援するわ』

「マジ？！Aに応援されちゃあ頑張れちゃうな！！チャハッ！！」

すっかり春色のこの季節。

あれから半年、私は憧れのキャンパスにいる。

「ねぇ、あの人カッコよくない？！」
『え？？どの人？？』

って………

『………え？？何で、優斗……』

「ごめん、本当はお前と同じ大学行きたかったんだよね！！ここ難しすぎたんだけろ？！」

「ずっと、Aの事好きだった。こんな俺でよければ付き合ってください！！」

『私と付き合って留年しても知らないからっ！』

「っおいおい！！ツンの割合強過ぎねぇ？！」

満開の桜、咲いてます。