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松村北斗 ページ14
テスト明けの今日。私は早速体育館にいた。
キュッキュッというバッシュの音、ドンドンボールをつく音、そのボールがリングにあたり跳ね返る音。
『お疲れ様です！！』
「お疲れー」「お、お久ー」「やっほ」
バスケ部のマネージャーとしてこの体育館に通い始めて早半年が過ぎた。
運動は苦手、かと言って帰宅部になるのも気がひける。
そう思って何気なく入ったバスケ部の部室。
まさかのマネージャー1人という大誤算もあったけど、皆優しくてやりがいもある。
まぁ、ただ1人を除いて。
練習が終わっても1人黙々と練習するのは2年生で新キャプテンになった松村先輩。
頭良し、運動神経良し、顔良しで有名な先輩なんだけど本当に謎が深い。
チームメイトと話すところもあまり見ないしかと言って嫌われてる風でもない。
むしろ1年の部員なんかかっけぇってリスペクトしてるほど。
マネージャーだし、残るのも苦ではないから何となく近くに立って見守っているとふと練習をやめてこっちに向かってきた。
「ごめん、気使わせたよね」
『全然そんな！！逆に邪魔でしたよね？！すみません！』
「そんな否定しないで(笑)。いつもありがとね、1人で大変なのに」
『いやいや、皆優しくて逆に感謝です！楽しいです毎日！』
なんだ、話してみたら凄い良い人じゃん。
「俺あんま器用じゃないからさ。でも、Aさんとはずっと話してみたいなって思ってたんだ」
『え、そんなそんな！！私も松村先輩いつも練習してて凄いなって思ってました！』
きっかけは何だったんだっけ。
私が1人でボールを拭いていた時、たまたま先輩が手伝ってくれて(もちろん無言)、そこから先輩練習するようになったんだよなぁ。
「初めはさ、Aさんが残ってて片付けしてて俺が手伝って、そっから残るようになったんだよね確か」
『私も今それ考えてました！！』
「それさ、」
話しながらコートに戻る先輩の後ろ姿。
「Aさんとどうしても話したくて残ってたって言ったら、引く？(笑)」
冗談っぽく笑いながら放ったボールが鮮やかな弧を描いて丸いリングの中に吸い込まれていった。
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作者名：ひまわりイエロー | 作成日時：2018年7月15日 12時
