青春 (ページ1)

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浮所飛貴ページ1

暑い。

窓側の1番後ろの席。

オンボロ校舎で学校自体がお化け屋敷って言われてるこの高校に、高性能なエアコンなんて存在しない。

ある所は物凄く寒く、ある所は物凄く暑い。

そんなクーラーのある教室で、文化祭の実行委員決めなんてやったって、決まるわけがない、と思う。

「誰かいないのー？？」

さっきから、学級委員長が仕切って前で声を掛けている。

なんで私のこと見るのよ。

クラスの子もだんだん飽きて来て、こっそりスマホをいじったり、近くの子とおしゃべりしたり。

誰も立候補しないよなーって思ってると、

後ろにいた先生が口を開いた。

「じゃあ、Aやってくれよ」
『……え？！』
「Aは、色々頼りになるし、お前！部活も入ってないだろ？」

こんな事なら文化部にでも入っとけばよかった。

それでも、皆私が断らないように我先にと拍手を送る。

『はぁ……』

残りは男子。

「じゃあ、俺やりたーい！！」

……え。

「じゃ、男子は浮所で決定だ」

手を挙げていたのは、まさかの浮所飛貴君。

人気者で、モテモテの彼。

部活もテニス部で忙しいはずなのに。

そして彼は

私が密かに想う人。

『…なんで、実行委員なんてやったの…？』

「だって、買い出しとか何か青春じゃん！！」

いつも無邪気で、明るい彼。

「それに、Aちゃんがやったから」

『……どういう事？？』

「そのうち分かるよ！！笑」

そんな彼に惹かれた。

何故か心臓がうるさい。

案外、実行委員も悪くない……かも。