58話: 豪炎寺夕香 ページ10
「夕香ちゃんは、お兄ちゃんのどこが好きなの？」
「んー…えっと、えっと…かっこいいところ！」
「あれ？お兄さんの好きなところってそれだけ？」
「うんうん、違うもん！お兄ちゃんはかっこいいけどやさしいし、それから、一番好きなのはサッカーしてる時！」
「夕香さんは、修也さんのサッカーを見るのが大好きですものね」
だが、豪炎寺修也を思い出したお陰で、少し原作が思い起こされてきた気がする。
夕香ちゃん和む可愛い。
芋づる式に記憶が引っ張られていく。
まるで記憶の鍵が開いたみたいだ。
ぴょんぴょんしてる可愛い。
「お兄ちゃんにね、ゆうしょうしたら、何してあげよっかなぁ？ってかんがえてるの！」
「ですが、何をすれば良いのか…。修也さんは、夕香さんになら何をされても喜ぶと思いますから…」
「それじゃダメなの！おにいちゃんの腰がぬけるくらい、びっくりするやつがいい！」
「それは難しいんじゃないかなぁ…？」
原作の知識が、少しだけ思い起こされて来た。
あの豪炎寺が腰を抜かすとか想像が出来ない。
「でも、私はね、夕香ちゃんがお兄さんの為にそうやってたくさん考えてくれるのが、一番嬉しいんだと思うな」
「そうなの？」
「どんなに高くても、きらびやかでも、豪華でも、人によって価値は変わるものなのよ」
「…よく分かんない」
「さっきのキーホルダーだって、兄さんが長い時間をかけて選んでくれたの。私はとっても嬉しかった」
そう。
原作は豪炎寺修也が雷門中学に転校してきたところから始まり、それから…。
(あんな事が起きれば、それはまぁ心配に)
「だから、今度は私、が、兄、さんに、」
「あれ、リコお姉ちゃんどうかしたの？」
思わず足が止まった。
夕香ちゃんが振り返って、急に止まった私を不思議そうに見つめてくる。
「…ぇ？」
その無垢な瞳に、今の私はどう映っているのだろう。
フットボールフロンティア決勝戦、今は原作一年前、豪炎寺修也の妹、豪炎寺夕香。
記憶のピースがかちり、かちり、とはまっていく度に、彼女が
ああ、ああ、ああ。
「リコ、お姉ちゃん…？」
今日、フットボールフロンティア決勝戦の日に。
この小さな少女は、交通事故で一年間眠り続けるという不幸を、その身に受けるのだ。
覗き込んできたその少女の大きな瞳の中には。
唇を戦慄かせる、青褪めた私の姿があった。
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黒牡丹(プロフ) - モモさん、コメントありがとうございます。こうやって直にコメント貰えると、やっぱり応援されてるって分かって作者はとても嬉しいです。これからも精進していきますよ！ (2019年2月20日 22時) (
レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 夜さんコメントありがとうございます。いやほんと、ここまでお待たせして申し訳ありません……これからはなるべく早く頑張ってみます……私のペースだと完結するのに何年かかるか……。 (2019年2月20日 22時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - うおお…！密かに応援していた者です。ゆっくりで良いので頑張ってください( ´∀｀) (2019年2月17日 8時) (レス) id: 9f311d580c (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 更新ありがとうございます！楽しみにしていたのでとても嬉しいです！これからも黒牡丹さんのペースで頑張って下さい！ (2019年2月17日 0時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 夜さん、コメントありがとうございます。三ヶ月越しのコメント返しとか本当殴られても文句言えませんわすみません。これからはそんなに間を空けないようにしますですはい、頑張ります。これからも宜しくお願いします。 (2019年2月16日 23時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒牡丹 | 作成日時：2018年3月5日 21時
