87話 病室へと ページ39
「兄さん、私先に帰るね？」
「ん、分かった！俺は河原で練習やってくるな！」
「リコちゃん、知り合いの子のお見舞いに行くんだっけ？早く元気になると良いね」
「…ありがとう」
兄さんたちに手を振り、学校を出る。
向かうは稲妻総合病院だ。
雷門さんから話を聞かされた今日、私は彼の様子を見るのも兼ねて、お見舞いへと行くことにした。
あの日からもうすぐ一年が経つ。
慣れた感じで真っ直ぐと目当ての病室へと向かった。
私が見捨てたも同然のあの子に会うのに、彼女の兄に会うのに、もう足は震えなくなった。
初めて会ったのは、彼女のお見舞いに行った時。
彼女に会うのが怖くて、けれど会わなければいけなくて。
病室の前でドアに手をかけても力が入らない、なんて事が多かったが、彼とはその時に鉢合わせた。
病室のドアに手を掛けたり引っ込めたりしていた私は、彼にはとても変な人間に映ったであろう。
逃げ出すことも出来ず、フクさんに声を掛けられて答えるのが精一杯だった。
それから、何度か話すようにはなった。
夕香ちゃんとの思い出を、それはそれは楽しそうに、悲しそうに話す彼は、ひどく痛ましげだった。
私も、夕香ちゃんと少しだけ話したこと、約束したことを話した。
彼は悲しそうに私を見ていた。
彼にそう見られた時、私は何度も言いそうになった。
私はそんな人間じゃないんだ。彼女を見捨てたんだ。君にそう見られる資格は無いんだ。
そう、喉元まで出るのに、口からは何も出はしない。
全く優秀な口だと自分で笑った。
病室を開けると、窓からの風が吹き通される。
先には一人の少年の姿。
「こんにちは。豪炎寺君」
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黒牡丹(プロフ) - モモさん、コメントありがとうございます。こうやって直にコメント貰えると、やっぱり応援されてるって分かって作者はとても嬉しいです。これからも精進していきますよ！ (2019年2月20日 22時) (
レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 夜さんコメントありがとうございます。いやほんと、ここまでお待たせして申し訳ありません……これからはなるべく早く頑張ってみます……私のペースだと完結するのに何年かかるか……。 (2019年2月20日 22時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - うおお…！密かに応援していた者です。ゆっくりで良いので頑張ってください( ´∀｀) (2019年2月17日 8時) (レス) id: 9f311d580c (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 更新ありがとうございます！楽しみにしていたのでとても嬉しいです！これからも黒牡丹さんのペースで頑張って下さい！ (2019年2月17日 0時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 夜さん、コメントありがとうございます。三ヶ月越しのコメント返しとか本当殴られても文句言えませんわすみません。これからはそんなに間を空けないようにしますですはい、頑張ります。これからも宜しくお願いします。 (2019年2月16日 23時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒牡丹 | 作成日時：2018年3月5日 21時
