No.271 ページ26
Aside
「追加で撮影ですか...？」
すみません。と謝りながら説明するスタッフさん
なにか、私を見て考えが変わったらしく
少しラストシーンあたりに追加したいらしい
ス「急ですみません...」
「大丈夫ですよ。でも、他のメンバーとかは
もう遅いので帰ってもらったほうが...」
大「いいよ。あと少しなんでしょ？」
でも...と言ってもこれはみんな絶対帰らない
そんな目をしている
「...すぐ終わらせるから。ごめんね、待たせて」
雄「Aちゃんの名演技を生で見れるからいいよ」
「ハードル上げないで。」
余計緊張するじゃん！
...一瞬東さんと目が合った
凄く睨まれていた
駄目だ。怖くて涙出そう
いや、泣いたほうが演技にもいいのか？
「あの...どんな感じで撮れば...」
ス「咲良さんが考えてくれた設定が凄く良かったので
それの延長線で、悲しげだったり申し訳ない
感じでお願いします。」
うーん。よく分かるようで分からない
取り敢えずやってみるしかないか...
悲しげって事は、不倫してしまった事に対して
申し訳なさっていうのは、まだ愛している夫に
対しての謝罪
罪悪感で押しつぶされそうな感じ？
...無理。不倫なんてした事ないから分かんない！
でも...
置き換えたら？
いつも感じている怖さと辛さ
嘘をついて心配かけてしまっている申し訳なさ
みんなの優しさに応えることができない罪悪感
ス「それではカメラ回すので、自由にして下さい」
...なんだ
案外いけるじゃん
ス「凄い...」
はだけたシャツを肩にかけベットにポツンと座る
空っぽになってしまったように
ただ、遠くを見つめて
そっと左手の薬指にはめている指輪にキスをする
優しく
最後にするように
涙を、静かに流しながら
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作者名：sakura | 作成日時：2020年5月18日 6時
