【BL】夫がイケメンで心臓もたない。(白目)【名前変換オリジナル】

六四 ページ14

「幸殿」

「A様…来て頂きありがとうございます。少し、菓子でも食べて話しませんか？」

「あぁ」

俺と幸殿は縁側に座った。俺はぼけっと座るだけ。

「昨晩…。今日の夜からA様の話し相手をしてくれ、と頼まれまして…よろしいでしょうか」

「それは、信長が言ったんだな…？」

「はい」

話し相手…ね。気遣いかなんかか？ンなモン要らねぇのに。

「構わん。幸殿と話をしたいこともあった故」

俺は顔は向けなかったが、顔を綻ばせた。

「A様、私はもう信長様のように並べられた地位ではありませんので、呼び捨てにしてください」

「分かったよ、…幸」

幸は俺を見て、ふ、笑った。

「ありがとうございます。あ、A様。猫の面倒見てくださったんですよね…？」

「私ではない。私は猫を見つけることも出来なかったさ。信長だよ、出陣前に餌付けしていた」

幸は静かに目を伏せた。申し訳なさでいっぱいだろう。

「兄…っ、信長様が…」

「…皆変わっていくな」

「そう、ですね。あの、A様…」

聞きづらいようなことなのか顔は明るくない。

「ん？」

「昨晩、兄上と何か…」

「何もない」

自分から口にしておいて、心が虚しくなる。

「そうですか」

「ああ」

何もかもきっとなくなった。

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