五五 ページ5
信長は恨みを込めた睨みで光秀を見ていた。そして、置いてある短刀を持ち、着物を広げ腹に刀を当てる。夢だ、これは夢…それなのに、現実味で溢れすぎている、首に当てられている短刀は冷たい。周りは炎で熱い。
怖くなってきた。
「…ッや、だ…のぶ、ながっ…」
「A」
ぐしゃりとやけに生々しい音が耳に響いて、わけがわからない。
「…あ、ぁ…?なんで…?」
口から溢れた血がぼたぼた顎を伝って床に落ちていくのを見て、酷く脱力して吸い込まれるように視界は真っ暗になって、パッと見慣れた天井が見えた。
少し身体を動かすと、脇腹がズキズキと痛んだ。
「いてて…」
そう言えば、流れ弾が運悪く当たったんだ。
ちらりと横を向けば、信長があぐらで座り、頬杖をついて居眠りをしていた。
当たり前だが、何処にも傷がないのを見て安心する。俺はつくづく信長に惚れていたらしい。
「…」
信長の片方の手は俺の手をしっかり握っていて、それだけで嬉しくなる。俺もきゅっと握り締めると、信長が目を覚ました。
「よ、」
「フン」
久しぶりに目を合わせた気がする。あ、戦のときなしでな。
「…勝手な真似をしおって、貴様の貧弱な身体では死ぬところだったぞ」
「ごめん。信行殿も助けられなかった…」
「信行はまだ生きてる」
「え…、あんなに撃たれて…?」
「俺の弟だ。そんなモンでは死なん」
そう言った信長は、どこか自慢気で自然と笑みがこぼれた。
「何を笑っている」
「別に〜…」
すると、信長はじーっと俺を見てからくすぐりだした。
「ひひははっいたい、ふふいたいっやめッ…」
笑って、傷口が痛んで涙が出てくる。気づくと目の前に信長の顔があって、すぐに顔を逸らした。
ああ、久しぶりの変態に守りが甘かった。
そんなことを考えていると、信長は俺の頬をむぎゅっと潰して無理矢理目を合わさせた。
「タコ」
「はぁ!?」
「フン、おい。A。俺に惚れているのか」
…なんで?俺なんか言ったっけ。………あ、戦でだ。自爆してた。
「…いやあれは…えっとなんとなく言っただけで……いや、ぅ、…うそ。
あれ、本当…だ。信長は、俺のこと玩具がなんかかもしれねえけど…す、き。
俺…信長のことすきになっちまった…」
最初は誤魔化そうと思ったが、途中で本当にいいのかと思って、信長に淡い期待をしながら本当のことを言った。
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大手裏剣(プロフ) - 月夜さん» いえ!こちらこそありがとうございます。10月始めまでには公開出来るように頑張ります! (2019年9月28日 22時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 大手裏剣さん» あ”あ”あ”(( レスありがとうございます!! 続編、楽しみにしてます^^ 体に気をつけて頑張ってください!! (2019年9月26日 22時) (レス) id: fafc33f615 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 月夜さん» おわわ!!めっちゃ嬉しいです!私も信長様好きです。惚れました。恐らく、近頃続編が公開出来ると思います!楽しみにして下さると嬉しいです!! (2019年9月26日 22時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 一気読みしました!! オリジナルBL読むの初めてだったんですが……………。 どちゃくそ好みでした(( いや、信長様イケメンすぎか。惚れるわ。更新頑張ってください!! 応援しています^^ (2019年9月26日 18時) (レス) id: fafc33f615 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 月希さん» 出来れば…私のボードでお願いします。リクエストはお受けしますよ。 (2019年8月8日 11時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:大手裏剣 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時:2018年9月14日 21時