病み少年に会いました［BL］【オリジナル】

08.弟の話 ページ10

「あ、そうだ。聞いてよ」
「何？」

突然思い出したように話し出す奏太の話に俺は耳を傾けた。

奏太は周りを見て、少し声を潜めて言った。

「うちのクラスに不思議な人がいるんだよね」
「不思議な人？」
「そうなの」

……

奏太によれば、その不思議な人というのは、
頰に紫のあざがあって、ものすごく顔色が悪く、目の下のクマが目立ち、初登校の日にも関わらず、ずっとうとうとしていたらしい。特徴をあげるなら目元の二つある黒子。そして、意外と美形であること。

……

ていうかさ……紫のあざって……

……

……あいつしかいないじゃん！！

頰に紫のあざあるやつとか早々いないし！

しかも冷えピタとかそういうのすら貼ってないし！！

……独特な雰囲気とは思ったけどやっぱり変人なのか……？

「それでね、しかもその人。あ、夕闇くんって言うんだけど。夕闇くんね、自己紹介の時いきなり、『俺、めんどくさい奴だから関わんない方がいいよ』って言ったの」

……なんか無愛想だった雰囲気と完全に一致する台詞だな……

「なんかクラスの人みんなびっくりしててさ。帰る頃には『夕闇くんは病んでる〜』とか『やばい奴だ〜』とかすごい言われてた。まぁ、実際、僕もちょっとそう思っちゃったけど」
「……ふぅん。ねぇ、奏太。そいつフルネームなんていうの？」
「え？あぁ、夕闇咲夜だけど……」

……夕闇咲夜、か。

実際会ったらどんな奴なんだろ。
やっぱり変なのかな。

自分が助けた一年だし、実際どんな奴なのかちょっと気になるんだよな……

夕闇咲夜、夕闇咲夜。

覚えておこう。そして会えたら話してみよう。

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