06.心配 ページ8
……一年だったとは……
教室に戻ってからホームルームが終わるまでの間、机に突っ伏して、俺は助けてやった無愛想なあいつのことを考えていた。
一年は今日だけ他の学年より登校時間が遅いから、てっきり二、三年のどちらかと思っていた。
……ていうかあいつ、大丈夫かな。
頰、紫になってたけど……
あのまま放置とか絶対よくないだろ……
うーん……心配だ。
って別にいいじゃん心配なんかしなくて。
あいつさらっと去ってったし。
というか!あいつのせいで奏太見逃したんだし!!(……ちょっと理不尽な気もするけど)
「……はぁあ……」
心配したり奏太を見逃したのをあいつのせいにしたり。気持ちが忙しくて、思わず俺がため息をつくと、横から声がした。
「……お前今日ため息が多くないか」
その声が誰なのかなんとなく予想はしつつ、声がした方を見ると、予想は当たった。
「俊」
基本的に俺のため息なんかに反応するのはこいつくらい。予想をするのはさほど難しくはない。
……ていうか俊、ため息に反応しすぎじゃない?今日二回目だよ?
なんて、頭では思いつつ、俺を心配してのセリフだとも考えたらとてもそんなことは言えず、俺はとっさにごまかした。
「そんなことないよ。弟が見えにくい位置に居て不満だっただけ」
あながち間違いじゃないしいいでしょ。
俺がそう答えれば、俊は「あっそ」とだけ言って自分の席に戻って行った。
……
多分ごまかしたの、バレてる。
けど、俺がこれ以上は何も言わないのもわかってると思う。
今の“あっそ”は「本当に何もないんだな」って思ったんじゃなくて、じゃあ「もう口出ししないから勝手にしろよ」の“あっそ”だ。
昔からそうだった。俊は細かく何があったかは分からなくとも、何かあったというのにはすぐに気づく。
もちろん、何かあれば心配しつつ声をかけてくれる。けど、言いたくないとか、言う気がないのがわかれば、ほっておく。
俊は優しいだけじゃなくて、察しが良くて人がどうして欲しいのかわかる奴なんだ。
俺のたった一人の、本当に大切な幼なじみだ。
99人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろヰ(プロフ) - みるくプリンさん» 返信、ものすごく遅れてしまって申し訳ありませんm(_ _)m一気読みしてくださってありがとうございます!しばらく続くと思うので待っていただけると嬉しいです! (2019年10月13日 23時) (レス) id: 6ac2c500cb (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして!すごく面白くて一気読みしました。更新楽しみに待ってますねっ(*^^*) (2019年8月13日 6時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
くろヰ(プロフ) - 霧雨量 文月さん» コメントありがとうございます!今後もお話に色々詰め込む予定なので楽しみにしていてください笑 更新頑張ります! (2019年7月19日 20時) (レス) id: 55eb3eeca7 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨量 文月 - めっちゃ面白いです!!これからの展開がとっても気になって仕方がありません!!更新頑張ってください!! (2019年7月19日 5時) (レス) id: 1995ceb10a (このIDを非表示/違反報告)
くろヰ(プロフ) - タチアナさん» コメントありがとうございます!面白いと思ってもらえるなんて...!すごく嬉しいです!更新頑張りますね(*^_^*) (2019年7月12日 22時) (レス) id: 55eb3eeca7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くろヰ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hagemaru101/
作成日時:2019年6月24日 0時