病み少年に会いました［BL］【オリジナル】

19.お話 ページ21

……夕闇、まだかな。

俺は、朝から夕闇を待っていた。

本当は兄さんと俊くんと登校する予定だったけど、今日は一人で家を出て一人で登校した。

なぜなら俺は夕闇に個人的に話すことがある。

……どうせあいつ、なぜか朝来るの早いし、もうじき来るだろう。

……ほら。

夕闇は相変わらず痣は放置で、大きな欠伸をして教室に入ってきた。加えて今日はなぜか制服がすごく崩れている。

「夕闇くん、おはよう」
「……」

……無視ですか。知ってたさ。誰にだってそうだもんね、お前。そのちょっと整った顔につられて挨拶した馬鹿な女子にだって無視してたもんね。

「……あのさ、僕、君に話があるんだけど」
「……」
「聞こえてる？」

全力の営業スマイルで話しかける。なのに夕闇は全く返事をしない。代わりに俺の顔をまじまじと見た。そしていきなりこう言われる。

「……アンタ、兄いる？」

……こいつ、ちゃんと聞いたら案外声高いな。もっと低くて暗い声だと思ってた。

……あ、なるほど。今わかった。

兄さんはこの声に騙されたんだ……

意外と不思議な人じゃないって言うのはこの一見陽キャっぽい声を聞いたからだ……兄さん、危なっかしいな……俺は心配だよ。

あれ、ていうか今、夕闇、兄いるでしょって言わなかった？

……やっぱり兄さん、こいつと話したんだ……そして俺の存在と特徴まで話しちゃったわけ？！

兄さぁん……

「え〜、なんでそう思うの？」
「顔。ちょっと似てる人に会った」
「ふーん」

俺の目をじっと見て答える夕闇。

ってアレ、こいつ、兄さんと俺の顔が似てるとか、わかってるー！！

……って危ない。褒めるの上手くても兄さんに近づいた輩であることには変わらないし、釘は刺さないと……

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