サクラ八枚 ページ10
「咲良くん、なんで僕を呼んだの」
「......理由なんていいでしょ。春ちゃん、会いたかった」
そう言って咲良くんは僕を抱きしめる。
大嫌いな人に触られる感覚に耐えられなくて、
僕は思わず咲良くんを突き飛ばした。
「...抱きつかないで。僕は会いたくなかった」
「冷たいなぁ......俺があいつらに春ちゃんいじめるように仕向けたの、まだ恨んでる？」
「逆になんで恨まないと思うの」
「だって春ちゃん、小学校の時、俺のこと好きだったでしょ？」
「.........」
...バレてた...？
僕の気持ちを知っていてわざと嫌われるようなことしたの？あんな方法で？別に嫌われるようなことをするのはいい。けど、僕の小学校最後の年を台無しにするのはひどすぎじゃない...？なんでそこまでひどいことされなきゃいけないの？
「...あれ、その反応、マジで好きだった感じ？冗談で言ったのに......」
びっくりしたように言う咲良くん。
冗談で言うことじゃないでしょう...？
人の気持ちを踏みにじるのが......
「人の気持ちを踏みにじるのが、そんなに楽しい？！」
そう言って僕は咲良くんを殴ろうとした。
あの時の恨みも多少はあったと思う。
けど、そんな僕の拳は、咲良くんにあっけなく止められてしまう。
「ダメだよ春ちゃん。春ちゃんは俺には勝てない。あの時も、今も。」
「..........」
「ふふ、そんな睨まないでよ」
咲良くんは優しい微笑みを浮かべて、僕の頭を撫でた。体がこわばる。
「ふふ、変わってないね。可愛い桜色の髪も、
長い睫毛の可愛い黒目も。全部あの時のまま。背は少し伸びたけど、華奢だし。」
僕は唇を噛み締めて、咲良くんの手を払いのけた。
「やめてよ気持ち悪い！可愛くないし、華奢じゃない！なんで咲良くんに評価されなきゃいけないの！」
...言ってしまってから、僕はハッとした。ほんの少し、ほんの一瞬だけ、咲良くんは、明らかに傷ついた顔をした。
...
...初めて見る、表情だった。
「あ、いや......ごめん」
そう言われるようなことをしたのは咲良くんのはずなのに、謝ってしまった。
「.........言うようになったね。あの時は絶対に反抗なんてしなかったのに」
「.........」
「春ちゃん」
「......何」
「これからよろしくね。バイバイ」
そう言って咲良くんはあの優しい笑顔を浮かべて去っていった。結局なんで僕を呼んだんだろ......からかうため？...だとしたらすごく腹がたつんだけど......
......
...
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くろヰ(プロフ) - 黒星さん» コメントありがとうございます！面白いと思っていただけたようですごく嬉しいです！！語彙力がないなりに頑張った甲斐があります！！ (2019年7月12日 23時) (
レス) id: 55eb3eeca7 (このIDを非表示/違反報告)
黒星 - 面白いくて読みやすい！ (2019年6月4日 18時) (レス) id: a851782061 (このIDを非表示/違反報告)
くろヰ(プロフ) - ひよこさん» 読んでくださりありがとうございます！更新頑張りますね(*´∀｀*) (2019年6月1日 13時) (レス) id: 55eb3eeca7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - おもしろいです！！最新待ってます (2019年5月28日 23時) (レス) id: 8c5aa4c3a0 (このIDを非表示/違反報告)
くろヰ(プロフ) - あろさん» こちらにもコメントありがとうございます...！春はなにかと可愛い要素があるように書いてるのでそう言ってもらえると嬉しいです笑 (2019年5月14日 0時) (レス) id: 55eb3eeca7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろヰ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hagemaru101/
作成日時：2019年5月1日 1時
