heal -1- ページ1
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こわかった。
飽和状態の満員電車。
朝から体調が優れなかった私は
、立ってるだけで意識がふわふわしてた。
女性専用車なんかありゃしない電車の中に詰め込まれて、電車が揺れる度に中身の私たちもぐらぐら揺れる。
泣きっ面に蜂とはよく言ったものだと思う。この時、生まれて初めて、痴漢ってものに出くわした。
ものすごく、こわかった。彼氏ができたこともなかった私は、身体に触れられること自体あんまり経験ないことで。
最初は鞄が当たってるだけかなと思った。私の自意識過剰かなって。でも当たり方が普通じゃないから、それはないなと感づき始めて、でもこんな缶詰状態の車内で誰かなんて、わかるわけもなくってーー
「おいアンタ、」
だから、そうやって、止めてくれたのがすごく嬉しかった。助けてくれたのが嬉しかった。かるーくその男の腕をひねって、私の方をちらっと見て、
「…怖かったか？」
もうきっとこの瞬間に落ちたんだ。見下ろす視線にやられちゃったんだ。吊り橋効果と、濃い顔好きがあいまって。
「…はい」
「なら助け呼べ、怖くても。俺がいなかったらどうなってたかわかんねーぞ」
「…はい」
「自分の身は自分で守れ」
「………はい」
「……俺が泣かせたみたいになんだろが」
一緒の駅で降りて、警察に犯人を突き出したあと。助けてくれたその人は、ぽろぽろ泣く私を見て困ったように視線をそらした。
泣く私を尻目に、視線を泳がせるその人は何かを思い立ったように「待ってろ」と言った。それからどこかへ歩いていって、戻ってくると、その手に握っていたものを「ん、」と手渡してくれて、
「…今日の朝っぱらは最悪だったな」
「………」
「だからこれから絶対いいことある」
「………なんでお味噌汁？」
「味噌汁っぽい雰囲気してる」
「…意味、わかんないですよ」
自動販売機にあるお味噌汁の缶を私に手渡すと、ふいっとその人は行ってしまいそうになる。
涙とか恐怖とか、いろんな気持ちで顔も心もぐちゃぐちゃだったけど、離れるのが嫌だった。
「あの、学校…！」
「今からでも行けよ。さっき渡した証明書。あれ見せれば遅刻は免れる」
……送ってはくれないのか。
そんな言葉を押し込んで、こくりとゆっくり頷いた。
確認するとその人は、「じゃあ」と手を振りあっさり離れていく。わたしがぎゅっと握りしめる缶のお味噌汁は、北風に負けず、じんわりじんわり暖かかった。
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イチゴ姉さん(プロフ) - うへへへ可愛いぞ(((面白かったです!! (2017年7月7日 23時) (
レス) id: a287f06944 (このIDを非表示/違反報告)
フェイロ(プロフ) - 最初の文字の色を変える方法って教えてもらえませんか？更新頑張ってください＾＾ (2017年4月7日 19時) (レス) id: 87f8a5a3d2 (このIDを非表示/違反報告)
楸ヒナタ(プロフ) - すたちゃーん。相変わらず綺麗な文章で読みやすいし、面白いし、主人公の性格が好きすぎる。最高です！更新楽しみにしてます( *´艸`) (2017年2月27日 17時) (レス) id: 5a9f26663b (このIDを非表示/違反報告)
ノヤナ(プロフ) - 新作おめでとうございます！デクかわいいですね…。わたしも大分ヒロアカに詳しくなりました。少ない知識で楽しませてもらいます(*´-`) (2017年2月27日 13時) (レス) id: ab4c6f4343 (このIDを非表示/違反報告)
すた(プロフ) - あきらさん» 初めまして！わぁ嬉しいです…！言葉が好きなので、いちいち気を使ってたりするので気づいてもらえると嬉しすぎます。頑張ります(*´∀`) (2017年2月27日 1時) (レス) id: 2920487ba5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すた | 作者ホームページ：
作成日時：2017年2月11日 7時
