◇ふわり ページ46
.
「バクゴーさん、バクゴーさん、」
「…なんだよ」
「子供とか欲しいって、思ったりします？」
「…？！」
.
.
私の同居人の彼は珍しく石のように固まって私を見た。動揺しているらしい。珍しく。
数秒私を見てから、真剣な顔で言う。
「どういう意味だよ」
「いや、深い意味はないですけど」
にっこり笑うと、部屋の中で彼の隣に座った。ぽんと肩の上に頭を乗せる。
「生まれたら子供はもちろん英才教育ですか？」
「なんで」
「しそうだから」
「しねーよバーカ」
ここは部屋の中でも陽のあたる場所。
「爆豪さんの個性継いだらすごい子供ができそうだなぁ」
「お前の性格引き継いだらすげえことになりそうだな」
「…爆破しながら自虐する子供…」
「……子育て頑張れよ」
「一緒にやるんですよ」
くすくす笑って彼の手を握る。
すべすべと撫でてから、指と指を絡ませて、
「私欲しいものがあるんです」
「へー」
「こう…指に装着する感じの」
「………」
「爆豪さんとお揃いだとなお嬉しいですね。爆殺王とお揃いってだけで3年先まで笑えそう…いたっ！！」
ガツン！と頭に固い感触。こう…四角いものの殺傷力が高い部分、角を利用してくる感じのーー
「ほんっとお前可愛くねえ」
「…うそ、いつから、」
がっと左手首を掴まれて、するりと冷たい感触が指を通り抜けた。
ぴかぴか光るリングを見る私の耳元に、爆豪勝己さんが声を落とす。
プロポーズの、セリフは、
「お前もう川瀬捨てろ」
「……ふ、ふは、あははははっ、」
ひとしきり笑うのはいつものこと。
最高に彼らしい言葉を噛み締めまくって笑い続けていると、恥ずかしくなったきたらしい彼がちょっかい出してきて私も床にゴロゴロ転がり2人でじゃれ合う。
仰向けに二人並んで寝転がってから、ふふふっと私は笑った。爆豪さんは、私を見ずに言った。
「死ぬまでついてくる覚悟は？」
「…何を今更、」
がばっと彼に覆いかぶさって、鼻と鼻がぶつかるくらい近づいてニンマリ笑った。
「とっくの昔に出来てます」
それを聞いた爆豪さんは、ふわりと優しく、私を見据えて綺麗に笑った。
おわり
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 987人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すた | 作者ホームページ：
作成日時：2016年7月14日 23時
