◆図書館 ページ44
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カチカチカチカチ、
いつも聞こえるはずのない腕時計の秒針の音が聞こえる。
「…爆豪さーん、爆豪勝己さーん」
机に突っ伏しながら。小声で名前を呼ぶと、彼は本に向けていた視線だけを私に向けた。
目を合わせたままニコッと笑いかけると、しばらくそんな私を眺めていた彼は再び本に視線を戻した。
がくっとずっこけるように、私は大げさに顔を腕に埋めた。無視はひどい。
図書館なう。図書館なう。
どんな経緯か忘れたけれど、二人で図書館に来ていた。新しい図書館だからパソコンとかも充実していて、でも平日だから人は少ない。
私は本とかあんまり読まないので、ひたすら仕事の残りをこなしているんだけど、爆豪さんはと言えば意外にも本を読みふけっている。静かに。
しんとした空気にマッチする爆豪さんを初めて見る気がする。非常にレア。
……まつげが長い。
伏せた目元のまつ毛が長い。あんなに目つき悪いくせにまつ毛はあるんですか。というか怒ってなければこの人顔はかっこいい。整ってる。
普通にしてたら絶対もっともてるのに。
「…なんだよ」
低くつぶやくような声がして、はっとして視線を上げて目を見ると、ばっちり彼は私を見ていた。
ガン見してたことに恥ずかしくなって、思わず持ってた資料で顔を隠すとため息つかれる。
どうしようと思って持っていた紙を下ろすと、その時ギギっと図書室の椅子が動く音がした。
私に椅子を近づけた爆豪さんの腕が、肩に回る。
びくっと固まる私の耳元に、彼の口元が近づいた。
「かまってちょーだいって？」
「……だって、」
恥ずかしいけど本音が漏れる。
こんな事言ったらほんとに恥ずかしいし、手のひらに転がされてるみたいで嫌だけど、
だって事実だから、
「一緒にいれる時間少ないのに、…せっかく今は一緒にいるのに、ずーっと爆豪さん本読んでるから…」
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作者名：すた | 作者ホームページ：
作成日時：2016年7月14日 23時
