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「私の個性の発動条件は、複雑だけど簡単なんです」
「…おい、なんでベッドの上…」
「すぐわかります。動かないでください」
爆豪さんの両肩掴んで、それからぐっと鼻先が触れそうなくらい顔を近づけて。
目をがちんと合わせて、三秒間。
3、2、……1。
かくんっ、と倒れた爆豪さんに、私はふーと息をついて枕の上にその頭を乗せた。
「ベッドの上のが、楽なんだよねぇ……気絶した後。運ばなくて済むし」
私の個性は、相手の意識を失わせる個性。
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「川瀬！！！」
夕方時。どすどすとした足音ともに、爆豪さんの怒鳴り声が響いた。
「あ、爆豪さん。おはようございます」
「おはようございます、じゃねーよ！！てめぇ俺に何をしやがった！！」
「個性を使いました」
「口で説明しやがれ！！」
おお、これはキレてるな…
「まあ落ち着いてください」と言いながら爆豪さんに紅茶の入ったカップを渡すと、乱暴に受け取った彼は一口でそれを飲み干した。誰が一気飲みしろと。
「目を合わせた奴を眠らせる個性か？」
「さすがですね。覚えてるんですか。まあ2回目ですしね」
「…回数によって効果が薄まるのかよ」
「その通りです」
「へー」と眉をしかめたままの爆豪さんに、私も静かにカップに口をつける。
「にしても、眠らせるもしくは気絶させる、悪くねえ個性じゃねえか。もっと雑魚個性かと思ったぞ」
「はははとても失礼ですね」
「ヒーロー目指しても悪くねえと思うけど。なんで目指さなかった？」
爆豪さんが珍しく真剣に話をしてくれてる…
それに内心感動しながらも、私はははっと乾いた笑いをこぼした。
「それがですねえ、とんだ欠陥個性なんですよ私の」
「回数制限か？」
「話が早いですね。ひとつはそれです。あと一つが厄介です」
爆豪さん、どんな反応するかな。
「親しい人にしか効かないんです」
そう言ってから、ちらりと爆豪さんをのぞき見た。
少しは期待があった。ちょっとは照れたりとか、照れたりとか、…してくれないかなと。
思った私が馬鹿だったのです。
それを聞いた爆豪さんは、数秒考えると、
その端正な顔立ちのままあっさりと口にした。
「とんだ雑魚個性じゃねえか」
「ひどすぎる…」
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作者名：すた | 作者ホームページ：
作成日時：2016年7月14日 23時
