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【38】夜更 ページ38
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「爆豪さん、私に襲われてください」
そう言って川瀬は俺の首元に顔を埋めて、「うへへへ〜」と笑った。
腹あたりに当たる柔らかい感触。触れる足同士。
いつもより熱い肌と、うつろげな瞳。
ヤバイ。これは、かなりヤバイ。
「…おい川瀬、」
「…………」
「おいコラ。重ぇんだよ。降りろ殺すぞ」
反応のないこいつに、ついにぴきりと青筋を立てて、
「川瀬！！聞いてんのかコラ俺が襲うぞ！！」
「………すー…」
「…………は？」
聞こえてきた息遣い。
ハッとしてから上に乗るこいつを下ろして仰向けに寝かせて顔を見た。
するとそこには、それはそれは気持ちよさそーに寝てる川瀬がいて。
「………コイツ……」
思わず青筋立てたまま笑みがこぼれる。
なんだこの肩すかし感。俺をナメてんのかこいつ。
誘っといて爆睡かよ。寝込み襲うぞコラ。
そのまま数分スヤスヤ眠るこいつの顔を眺めて、
それから勝手に部屋を物色して、鍵を探し回っても見つからず。
マジでどこに鍵隠しやがったあいつ。神隠しか。
バカの思考にはついていけん。
鍵を開けたまま寝てるこいつを放置して出るわけにも行かず。つまり帰ることもできず。
「起きたら殺す」
そう思って夜更けまで起きるのを待ったが、
次の日の朝まで、こいつが目覚めることは無かった。
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作者名：すた | 作者ホームページ：
作成日時：2016年6月25日 21時
