【3】奢り ページ3
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「あー…クソ眠い。最近瓦礫処理の肉体労働ばっか。ヴィラン受け取り係って言うから、それしかしなくていいと思ってたのに」
ぼやきながら、瓦礫の積まれた手押し車を「おいしょ」と持ち上げると、どんっと後ろの誰かとぶつかった。
「チッ」と舌打ちが聞こえたあたり、爆豪さんか。
そう思いながら振り返ると、やっぱりそこには全身ダイナマイトな彼がいて。
「今日はボディタッチが多いですね爆豪さん。照れます私」
「そのよく動く舌燃やしてやろうか」
「いやいや口が聞けなくなったら私の魅力は半減してしまうのでご勘弁を」
「………」
「…………？爆豪さん？」
いつもなら、「そもそも魅力もクソもねえだろお前には」とか言ってきそうなもんなのに、
何も言わずに爆豪さんは、私のことをじっと見つめて固まってる。
その視線に意味のわからないまま立ち尽くしていると、ちょうどその時、先輩の声が遠くから聞こえて。
「川瀬ーーー！！昼休憩行ってこい！！」
「マジですか？！よっしゃあ！！今日はどこで食事を堪能し…」
「奢ってやろーか？」
「………ほ？」
なんか今、隣からとてつもなく神の声が聞こえた気がする。
奢る？お昼を？私に？しかも？
声を発した主が、爆豪さん？
「なんですって？！！爆豪さんが私にお昼を？！」
「文句あんなら…」
「ありません行きましょう！！」
ガシリと爆豪さんの腕をつかんでズンズン歩き出した。
鍛えてるだけあってやっぱガッシリしてるな。
そう思いながらもその腕をつかみ続けていると、
意外にも振り払わない爆豪さんは後ろから、いつものような怒鳴り声じゃなく普通の声で、
「どこ行くんだよ」
「私のおすすめの店です！」
「いいですか？」と顔をのぞき込みながら聞くと、爆豪さんは「ああ」とこっちを向かず、目線をそらしたまま言った。
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作者名：すた | 作者ホームページ：
作成日時：2016年6月25日 21時
