【18】接吻 ページ18
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「そうなんですよ！！そしたらその後の爆豪さんがめちゃめちゃかっこよくて！！」
身振り手振りで熱弁、月曜日の私。
休憩時間、コーヒーの香り漂う警察署の皆さんは、
暇つぶし程度に私の話を聞いてくれている。
「『川瀬！！伏せろ！！』って声がして、伏せた瞬間、鉛玉が私の頭の上を飛んで行ったんです！！
いやああの時の私の反応速度、皆さんに見せたかったですね。あれが火事場の馬鹿力だと！」
「「「へぇーーーー」」」
コーヒーに口をつけながら、興味半分で聞く先輩方。
「ほんと爆豪さんはすごいです。目つきと口の悪さで損してるだけでほんとは優しい人なんですよ！！」
私がそう言った瞬間、休憩時間終了の合図が鳴った。
署長を含め、先輩方はガタガタ自分のデスクに戻り始める。
私も自分の席に戻って、【今月のヴィラン発生率】の真っ白なページを埋めるべく、気合を入れなおそうとした、時。
「ね。爆豪に惚れてるの？」
聞き覚えのある声。「ん？」と振り返ると、
「あぁ、えっと…物間さん」
「そうそう。で、どうなの？爆豪のこと好きなの？」
「え？はい。好きですよ」
「…どんなふうに？」
「弟にしたいレベルに好きですねぇ」
そう言いながらくるくるペンを回してもう1度【今月のヴィラン発生率】に向き合っていると、
物間さんは「なーるほど。あっちがってことね」と言って、それからとんと私の机に手を置いて耳を寄せた。
「噂の爆豪がいらっしゃったよ川瀬。挨拶すれば？」
「ん？あー…ばっくごーさーん！こんにちーーー」
ちゅ、とリップ音。…リップ音？なんだそのハイカラな言葉。
ヴィラン受け取り係な私にこんなことが起こりうるとはまったくもって驚きである。
「…え？物間さん？今…」
ほっぺたに、私のほっぺたに、ちゅーした？
呆然と固まる私。静まり返る署内。
さっと帰ってしまう物間さんと、
……ブチ切れた爆豪さん。
「川瀬テメェェエエエエ！！！！」
「ひっ？！爆豪さん？！なんで怒っ」
「あのクソ野郎に何された？！他になんかされてねーだろーなクソが！！」
「いや、あの、ほっぺ痛いです爆豪さん擦り傷できそう」
「つべこべ言わず洗うぞ来い！！」
「えっ、ちょっ…ギャァァア！！」
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作者名：すた | 作者ホームページ：
作成日時：2016年6月25日 21時
