悲劇の人魚姫（アズール） ページ8
声を無くすだけでこの足に付けられた尾びれを消す事が出来、泡となって消えてしまえるなんてなんと素敵な話だろうか。泡にさえなってしまえばあの悪魔から逃げられるのだから。
｢ただいま帰りました。体調はどうですか？｣
まるで風邪を引いた恋人を気遣うような優しい物腰で彼は私に笑顔を向ける。その端々からは好きという感情が溢れだしており、直接与えられた好意に虫唾が走る。
「最悪です。早く返してください」
もう慣れてしまった水の中で言葉を発するという行為。最初は口を開く度に入ってくる水がつまり苦しかったがそれももう慣れてしまい、喉を水が通る事が当たり前になっていた。
｢ああ、やはり硝子越しでは貴方の可憐な声は聞けませんね。少し待っててください｣
しかしその声は強度の硝子越しには届くはずもなく、彼は部屋の端にかけられた梯子を伝い大きな水槽へ体を投げる。そして慣れたように私の元へ泳ぐとゆっくりと俗に言う姫抱きをしながら水槽の上へ持ち上げ、水槽の外へと戻る。
｢やはり貴方は綺麗ですね。ああ、そうだ。そろそろ人魚の涙の効果が切れてしまいますね。今持ってきます｣
そういい器用に姫抱きをしながら梯子を降りると私を2人用の大きなベットに寝かしつけ扉の外へ姿を隠す。
早くこんな生活から逃げ出したい。
心が悲痛の叫び声をあげる。拘束もされず、ただベッドに寝かされているだけ。扉も一切鍵がかかった様子もなかった為、逃げる事は容易だった。
足さえあれば
ラッキーパーソン
エース・トラッポラ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 469人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セイラ - さいこうです。好きですっっっっっっ、うちもイデア推し (5月13日 21時) (
レス) id: 0a2eee8487 (このIDを非表示/違反報告)
ブライド - 突然失礼します！リクエストしていいですか？オルト君のヤンデレをお願いします… (2020年6月12日 19時) (レス) id: 3d8c2e90f5 (このIDを非表示/違反報告)
夜霧皐月(プロフ) - 多毛林さん» ありがとうございます！先程続編を作成させました！応援して下さり本当にありがとうございます！書いてる身としてとても励まされます！これからも読んでいて楽しいと思えるような作品が作れるよう頑張ります！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: 9e4a1e2f47 (このIDを非表示/違反報告)
夜霧皐月(プロフ) - ラムさん» ありがとうございます！これからも皆さんが読んでいて楽しいと思えるような作品が作れるよう頑張ります！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: 9e4a1e2f47 (このIDを非表示/違反報告)
多毛林 - 同じく続編楽しみにしています。これからも更新頑張って下さい応援してます！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: cbaa155769 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜霧皐月 | 作成日時：2020年3月26日 22時
