獲物の狩り方（レオナ） ページ5
｢それではA、声変え薬には絶対のレシピは存在しない。それは何故だ？」
クルーウェル先生は厳しい声で私の名前を呼ぶ。答えは簡単だ。この薬は気温や湿度で分量を変える必要があるから。
私は大人しく椅子を引き立ち上がる。が、動かしたのは体だけで、口は一の字を貫く。先生の白い肌に赤い筋が浮かぶが私はそんな事は気にならないと涼し気な顔で前にある黒板だけを見つめる。
｢これは1年で習う初歩的な問題だ。それも分からないのか？｣
鼻で煽るように笑う先生はお前に聞いた俺が馬鹿だったと恒例文句を放ち私を座らせると周りのサバナクローの寮生が私を卑下する視線と笑い声を飛ばす。何時もの事だ。
……何時もの事なのに、この状況が嫌でもう教室に来たくないと思うのは仕方がないと思う。
こんな地獄の時間を解放してくれる授業終わりのチャイムが私は大好きだった。私は先生の終了の挨拶を聞き終えると机の上に置かれた教科書を持って植物園へと走り出す。
すると何かにぶつかる衝撃と共に体には感じるはずのない浮遊感を感じる。無意識に視線が下へ行っていたせいで前から来る人に気づけなかったのだろう。目をぎゅっと瞑りいつか来るで有ろう衝撃に身構える。が、そんな衝撃は手首を掴む逞しい手によって阻止される。
｢大丈夫っすか？｣
瞑っていた視線をあげるとそこには良くレオナと行動を共にするラギーの顔が大アップで映し出された。
｢すみません、急いでて前をしっかり見てませんでした。ありがとうございます｣
誰とも話すな。そうレオナさんに言われたにも関わらず私は故意でラギーに礼の言葉を渡す。別に迷惑をかけたから謝った訳では無い、ラギーだから大丈夫と思った訳では無い。ただ、あの教室に居たくなかった。約束を敗れば私はレオナの部屋から外出禁止になる。その状況になりたかったから私はラギーを利用したのだ。
ああ、なんて醜い人間だ。そんな声がどこかから聞こえた気がして私は彼の横を走りながら通り抜ける。レオナに会いたい。ただそれだけを思って。視界はやっぱり下を向いていた。
ラッキーパーソン
エース・トラッポラ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 469人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セイラ - さいこうです。好きですっっっっっっ、うちもイデア推し (5月13日 21時) (
レス) id: 0a2eee8487 (このIDを非表示/違反報告)
ブライド - 突然失礼します！リクエストしていいですか？オルト君のヤンデレをお願いします… (2020年6月12日 19時) (レス) id: 3d8c2e90f5 (このIDを非表示/違反報告)
夜霧皐月(プロフ) - 多毛林さん» ありがとうございます！先程続編を作成させました！応援して下さり本当にありがとうございます！書いてる身としてとても励まされます！これからも読んでいて楽しいと思えるような作品が作れるよう頑張ります！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: 9e4a1e2f47 (このIDを非表示/違反報告)
夜霧皐月(プロフ) - ラムさん» ありがとうございます！これからも皆さんが読んでいて楽しいと思えるような作品が作れるよう頑張ります！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: 9e4a1e2f47 (このIDを非表示/違反報告)
多毛林 - 同じく続編楽しみにしています。これからも更新頑張って下さい応援してます！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: cbaa155769 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜霧皐月 | 作成日時：2020年3月26日 22時
