続き ページ20
あれからどれだけの時間が経ったのだろうか。夕日がオレンジ色に染めていた白い壁は綺麗な白に戻り、開いたばかりの目に強い刺激を与える。
それにしても此処はどこだろう。
倒れる前の談話室とは少し異なった作りの生活感ある空間に上半身を起こし当たりを見渡そう。とした時、手首辺りが重い音を立てた。慌てて視界をそっちに向けるとそこには黒い手枷が両手にかけられていた。パニックで足をばたつかせようとするが足元にも何か重いものがつけられており自由に動かす事は出来なかった。
｢Aさん、起きましたか｣
扉の閉まる音と共に耳に届く優しいエペルの声に私は頭だけをエペル君に向ける。人当たりの良い爽やかな笑みの裏には悲しみの色が滲み出ていて、私はやっと自分のしたことの重大さを理解した。
｢エペル君ごめんね｣
溢れ出た謝罪の言葉にエペル君は張り付いた笑顔を取り、涙を零しながら私の元へ飛び込む。そんな彼を慰めようと頭を撫でようとした手は再びガシャンと音をたて、動くことは無かった。
｢なんで別れるなんてそげんなこといよっと｣
普段は基本的に敬語で話す彼の方言。これを私に使う時は本当に気が滅入ってる証拠だった。悲痛さを含む彼の苦しげな方言は私の心臓に大きな釘を打ち込む。
｢エペル君｣
｢なにも聞きたくないです。やっとAさんを手に入れたんですよ？それなのに貴方を離す事なんてできません。｣
私の胸元を濡らしていた顔を持ち上げ彼は真っ直ぐな目で私を見つめる。
｢なので、僕がいないと生きてけないようにします｣
あまりにも真っ直ぐなヤンデレ宣言。恐ろしい程に表情の無い顔がそれは偽りでは無く本気なのだと私に語りかける。
その真っ直ぐな視線に私の心臓は大きく跳ね、動くスピードをあげる。
｢Aさんの事は僕が全てするのでここで寝てて下さい｣
そう言って優しく微笑み、扉の向こうへと姿を消す彼にまた心臓が激しく動き出す。
一般的にはイカれていると表現される状況。普通なら部屋から出してと泣き叫んだり、エペル君を嫌うものなのだろう。
ラッキーパーソン
エース・トラッポラ
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セイラ - さいこうです。好きですっっっっっっ、うちもイデア推し (5月13日 21時) (
レス) id: 0a2eee8487 (このIDを非表示/違反報告)
ブライド - 突然失礼します！リクエストしていいですか？オルト君のヤンデレをお願いします… (2020年6月12日 19時) (レス) id: 3d8c2e90f5 (このIDを非表示/違反報告)
夜霧皐月(プロフ) - 多毛林さん» ありがとうございます！先程続編を作成させました！応援して下さり本当にありがとうございます！書いてる身としてとても励まされます！これからも読んでいて楽しいと思えるような作品が作れるよう頑張ります！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: 9e4a1e2f47 (このIDを非表示/違反報告)
夜霧皐月(プロフ) - ラムさん» ありがとうございます！これからも皆さんが読んでいて楽しいと思えるような作品が作れるよう頑張ります！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: 9e4a1e2f47 (このIDを非表示/違反報告)
多毛林 - 同じく続編楽しみにしています。これからも更新頑張って下さい応援してます！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: cbaa155769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜霧皐月 | 作成日時：2020年3月26日 22時
