続き ページ17
必死に離そうと首を押さえつける手を掴もうとするが酸素不足で血が行き渡っていない手には一切力が入らず、ただ添えるだけの状態になる。目に映っていた綺麗な青は白く霞だし、意識が少しずつ遠のき出す。
そして遂に添えていた手が力尽き崩れ落ちる。すると首に巻き付く彼の手の力が弱くなり、急に口から入ってきた空気が喉を通る感覚に噎せ返る。
｢僕は何を？｣
イデアは自分が何をしたのか本当に分からないというようにさっきまで私を死の淵へ追い込んだ手を呆然と眺めていた。
そして私が大きく噎せているのに気付き息を整えさせるように私の背中をポンポンと一定のリズムで叩く。
過呼吸はそのリズムのお陰で一定の呼吸へと姿を変え、ゆっくりと大きく息を吸った。
｢イデア、なんで？｣
急に凶変した彼の姿が脳裏から離れず、私の体は勝手に彼と距離を離す。
しかし、彼はそれを良しとはせず、息を整えるために背中に当てていた手に力を入れ私を強く抱きしめる。
｢君がレオナ氏と付き合うかもと思うと気が狂って、ごめん。でも僕には君しか居ないんだ。｣
私を縛る彼の腕に力が入る。それはまるで僕から離れないでと訴えるようだった。
｢僕から離れないで｣
捨てられそうになった赤子のように離れない彼を受け入れようとする手を寸前で静止させる。背中に回りそうになった腕を彼の横腹に置き何とか押し返そうとする。
｢ごめん、でも私は……｣
レオナさんが好きなの。
その想いはレオナさんではなくイデアの口の中へ消えた。唇に触れる少し掠れた唇、空いた隙間から彼の歯がカチンと私の歯にぶつかりキスという行為に慣れていないのが嫌でも分かる。
私は拒絶の意で彼の体を強く押すが、やはり男女の差。私は彼の成すままに口付けに答えさせられた。
唇が離れた頃にはお互いの息が荒れ、彼の背中に回る手も弱くなっていた。しかしそれ彼以上に肺活量の無い私はもはや意識を保つのがやっとのレベルだった。
｢お願い、僕を見捨てないで｣
うっすらと閉じていく瞼の奥には、半分泣き掛けの子供のような頼りない彼の顔が移されていた。
ラッキーパーソン
エース・トラッポラ
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セイラ - さいこうです。好きですっっっっっっ、うちもイデア推し (5月13日 21時) (
レス) id: 0a2eee8487 (このIDを非表示/違反報告)
ブライド - 突然失礼します！リクエストしていいですか？オルト君のヤンデレをお願いします… (2020年6月12日 19時) (レス) id: 3d8c2e90f5 (このIDを非表示/違反報告)
夜霧皐月(プロフ) - 多毛林さん» ありがとうございます！先程続編を作成させました！応援して下さり本当にありがとうございます！書いてる身としてとても励まされます！これからも読んでいて楽しいと思えるような作品が作れるよう頑張ります！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: 9e4a1e2f47 (このIDを非表示/違反報告)
夜霧皐月(プロフ) - ラムさん» ありがとうございます！これからも皆さんが読んでいて楽しいと思えるような作品が作れるよう頑張ります！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: 9e4a1e2f47 (このIDを非表示/違反報告)
多毛林 - 同じく続編楽しみにしています。これからも更新頑張って下さい応援してます！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: cbaa155769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜霧皐月 | 作成日時：2020年3月26日 22時
