8話 ページ8
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「………センセー」
「ん?何かな悠仁」
悠仁が血の気が引いたような、はたまた悟りでも開きそうな顔で歩み寄ってきて、僕の両手を握った。
「俺も着いてくから、自首しよう…?」
「エッッッ!?」
『じしゅ…?』
あれぇ予想外の反応!!
僕が誘拐してきたと思われてる!?
思わず笑いそうになったところで、野薔薇が悠仁の頭をバコンとひっぱたいた。
「ッいって〜、何すんだよ釘崎!!」
「いやだってツッコむとこ違うでしょバカ」
「…五条先生、それ呪霊ですよね。
それが高専生って冗談にしても面白くないですよ」
「え、呪霊なの」
「気付いてなかったの…?」
悠仁と野薔薇がやいのやいの言い合ってる横で、恵は鋭い目でAを見つめた。
Aは流石に怖がっちゃうかな、と思ったけれどむしろ逆だった。
『…A、悪いおばけじゃないもん!!!』
「……っは?」
少し涙目のむっとした顔で、恵に向けて大声をあげた。
3人とも目を丸くしぽかんとしていて、Aの事を見た。
『がくちょーも最初Aのこと呪霊って…悪いおばけって言った。違うもん、Aは悪いことしないもん……!』
「A…」
今後のためにも、僕ら呪術師が祓っているモノとAを区別する必要があった。
だからって幼子にも分かりやすいようにとAをただの幽霊、呪霊は悪い霊として嘘を教えたのが少し僕のミスだったかもしれない。
呪術師からしたらAも呪霊で、Aは初めて会う人間に毎度悪い霊だと決めつけられているようなものだ。可哀想なことをしてしまった。
どうAに声を掛けようか悩んでいると、ふと悠仁がAを高く抱き上げた。
『わっ……』
「俺、虎杖悠仁!Aちゃんとは少し違うけど、俺もおばけみてーな感じなんだ、一緒だな!!」
『ゆーじも、おばけなの?』
「おう!俺の中に呪い……おばけが住んでんだ、だから俺もおばけみてーなもんよ」
『おばけ、一緒だぁ……!』
「だろ〜!」
悠仁は言葉を選びながらそう言ってAを抱き上げたまま、ぐるぐると回った。
Aはもう悲しい顔はしていなかった。
…悠仁の真っ直ぐさに助けられてしまった。
「教師が生徒に助けられてどーすんのよ」
「面目ないね、本当に」
「…あとできちんと説明してくださいよ」
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まっちゃ - すごく面白いです!更新待っています! (2021年11月8日 22時) (レス) @page9 id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - とても面白いです。無理しない程度に更新頑張ってください!応援してます。 (2020年12月24日 19時) (レス) id: d92207b260 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 夢主ちゃん、めっちゃ可愛い!H×Hのアルカに重ねて読んで毎回萌えてます!!もしよければ1話だけでも「おねだり」テーマに書いてもらえると嬉しいです。 (2020年12月14日 23時) (レス) id: 58c76fca2c (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草 - 「悪いおばけじゃないよ」が、脳内で「悪いスライムじゃないよ」に何故か変換されました (2020年12月13日 12時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
氷雨霰 - 大丈夫だと思います!初コメ失礼しました!(コメントの文字数制限が来たので再びコメントさせていただきました) (2020年12月13日 0時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷっち | 作成日時:2020年12月9日 20時