8匹目 ページ8
「おっしゃ捕獲ーー」
『ひゃあ……っ!?』
ザップは引き摺り降ろそうと奮闘していたAの腕を掴み、そのまま後ろから抱きしめるようにバイクに乗せた。
「ヨユーで乗れたな。
お、信号変わったぞレオ」
レオの背中とザップの胸板に挟まれたAは、必死に降りようと抵抗する。
『ちょ、降ろしてよ…!』
「あーAさん、ここから先結構揺れるんで暴れると危な……」
Aに同情しつつそう言っていると、レオは視界の端でとんでもない現場を目撃し、思わず急ブレーキをかけ止まる。
突然のブレーキにザップはバイクのフロントに顔面を打った。
Aはザップにのしかかられ、窮屈そうに顔を歪めた。
「何だよ急に!」
『ザップ重……っ』
「…ザップさんAさん!
何すかアレ、何なんすか!?」
レオが必死に目線をある方向へ向ける。
そこには、一見なんの変哲もない普通のトラックが一台あった。
「トラックじゃねーか、洋服屋の。
なぁA」
『うん、ただのトラックにしか見えないよ』
「……そうですか、そう見えますか」
だいぶ落ち着いた口調で、そう告げたレオ。
ザップにはその言葉の意味が瞬時に分かった。
が、Aはまだ彼の目が特殊なことを知らないため、首を傾げるばかりだった。
「何だと、まさかお前……!」
「そうですよ、全然違うものが見えてます」
そう言って再びトラックに目を向けたレオ。
今彼の目には、真空状態の人間を運んでいる異界人2人組が見えていた。
そのうちの1人が不意に、ぱっとレオを見る。
レオは咄嗟に目を逸らし、止めていたバイクを急いで走らせた。
「どうした?」
「見られました、目が合いました…」
「…普通のトラックしか見えない俺からすると、お前まるきしノイローゼだな」
「……うわぁムカツク」
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あかねん - とても面白いです!!更新楽しみにしています! (2018年2月12日 23時) (レス) id: 55f7b7e8a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷっち | 作成日時:2018年1月15日 20時