変わらない記憶でも。 (ページ21)

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山田side

ラストオーダー2時間前。

ありがたいことに、まだまだお客さんはいる。

体調もそこまで悪くならなかったし、この様子ならあと2、3日で治るかな……なんて考えていた頃。

薮｢涼ちゃんのお客さん来たけど、どうする？｣

オーダーを取りに行った薮ちゃんがそう聞いてきた。

僕のお客さん……つまり、僕の能力を必要としているお客さんが来たということ。

そうとなれば答えはただひとつ。

山｢ん、分かった。行くね。｣

心配げな顔をしつつも、僕の答えを否定することなく頷いてくれる薮ちゃんに感謝しつつ、お客さんの元へ向かった。

山｢お待たせ致しました。｣

八｢あの、過去に戻れるって聞いて………。｣

山｢はい、それではご説明させていただきますね。｣

__

山｢では、準備はよろしいですか？｣

僕がそう聞くと、そのお客さんは覚悟を決めたように頷く。

しかし、どうもお客さんの表情に違和感を覚えたため、過去をみる前に声をかけることにした。

山｢……念の為にもう一度言いますが、過去に戻ってどう行動しても、その先の未来は絶対に変えられませんので。｣

八｢…………分かってます、大丈夫です。｣

お客さんがそう返事したのを聞いて、僕は額に手を近づけ、目を瞑った。