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第81話 予算 ページ37

「そういや、この前見た親父の記憶で飛行船が少し出てきたな」


『ほんとに⁉︎どんな感じだった?』


エレンは記憶で見たという飛行船のだいたいの形を紙に描いてくれた。


「飛行船」も気になっている技術のひとつ。これもいつか作ってみたいと思っている。


「悪い、あんまり上手く描けなかった」


『十分だよ、ありがとう。これが空を飛ぶなんて信じられないね』


「ああ、そうだな」


心ここに在らずという口調でエレンは答えた。


『…何か悩みでもあるの?』


「え?」


『最近元気ないからどうしたのかなって…鈍感な私でもそのくらい気付くよ』


エレンは黙って俯いた。少し伸びた前髪でエレンの表情が読めない。


「……ちょっと、記憶を見てたら…」


『見てたら?』


「…あ……いや、何でもねぇ。人に言うようなことじゃねぇから。心配しなくていい…」


悩みを言いかけてやめてしまった。エレンはひどく落ち込んでいる様子。


こんなとき、何て声かけたらいいんだろう。ミカサやアルミンならどうするんだろう。


「なぁ、A、俺と約束してくれるか?」


『約束?何?』


「写真を絶対に完成してほしい。それで、最初の1枚目を俺にくれ」


エレンの翠色の瞳と目が合う。


そうだった、エレンの寿命はあと7年。死ぬまでに写真を見てみたいということだろうか。


『もちろんだよ。って言いたいところなんだけど、今のペースだと何年かかるかわからないかな』


「大丈夫だ。Aの力ならあと1年以内に完成できる」


『そうじゃなくて、今、お金が足りなくてね…』


エレンに予算の問題を話した。


『何か、お金を稼ぐ方法知らない?』


「そうだな、店で働くのは難しいし、何か作って売るとか?」


それは良い案かもしれない。売るとなると武器ではなく、人々の生活に役立つ道具ということになる。


『エレンは普段の生活でこういうのあればいいなってものある?何か苦労してることとか』


「俺は特にねぇな。アルミンなら超大型巨人になった後の体力消耗に苦労してた」


『それはちょっと専門外だね』


「あと、兵長は風呂場のカビ取りに苦労してたな。最近は書類仕事が忙しいみたいで代わりに俺がやってるけど」


『あっ、それいいかも!』


エレンの言葉から良いものを思いついた。これには自分も苦労しているからわかる。


写真作りは一旦中断し、お金を稼ぐための新しい道具作りを開始した。

第82話 商売→←第80話 失敗



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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます!原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね(汗) (12月7日 12時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです!訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか? (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます!不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします! (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もう最高に面白いです!更新頑張ってください! (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます!まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください! (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたがし | 作成日時:2023年11月2日 12時

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