第？話 慈愛 ページ33
Aが誘拐されたと聞いたときは全身から血の気が引いた。父親と同じように殺されるのではないかと。
巨人の拘束兵器や俺の義手を作ったことでAの噂が中央憲兵の耳にまで届いてしまったらしい。
調査兵団にいれば安全だと高を括っていたが、どうやら向こうの方が一枚上手だったようだ。
クーデター成功後、ピクシス司令に連れられて出てきたAを固く抱きしめた。
生きてる。ちゃんと生きてる。守ってやれなくて、怖い思いをさせてしまってすまなかった。安堵と罪悪感が入り混じる。
その後、王都で別れたはずのAがオルブド区に現れた。俺を追いかけて来たのかと思いきや違っていた。
その理由はAのとった行動でわかる。Aがリヴァイに抱きついたのだ。
リヴァイは嫌がることもなく、ただAを見つめていた。その目はとても優しい目をしている。
そこで確信した。Aとリヴァイはお互いを特別な存在として見ている。
2人とも無自覚のようだが、根底にある想いはおそらく同じ。それならば、2人を結びつけることが兄としての役割だ。
そしてウォール・マリア最終奪還作戦の日。
超大型巨人の爆発が起こりシガンシナ区内は火に包まれている。Aは無事だろうか。
区外も獣の投石により絶望的状況に陥っている。もうあの作戦しか残されていない。
獣を仕留めるとリヴァイが約束してくれた後、リヴァイにAの出自に関してを打ち明けた。
「リヴァイ、もう一つ約束をしてくれるか？」
「何だ？」
「Aを頼む。お前にしか託せない。いや、お前にAを託したい」
リヴァイに封筒を渡す。受け取った封筒をリヴァイはしっかりと懐にしまった。
「了解だ。命に代えてもAを守ってみせる」
俺は今からここで死ぬ。世界の真実を知ることも、最後にAに会うこともなく死ぬ。
兄として何があっても守ってあげたいと思っていた。だが、それはもう俺の役目ではない。もっと頼もしい男がいる。
だから託した。Aを、Aの未来を。
リヴァイ、どうかAを幸せにしてやってくれ…
俺はただ、2人の幸せを願っている。
《エルヴィンside 終》
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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます！原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね（汗） (12月7日 12時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです！訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか？ (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます！不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです！更新頑張ってください！ (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください！ (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年11月2日 12時
