第？話 本心 ページ32
調査兵団で兵器を作りたいと言うAにどういうことか聞いてみた。
今ある兵器よりももっと強力なものを開発すれば兵士の生存率も上がり、巨人に勝つことができる。
その兵器を作るためには壁外に出て巨人がどういうものか実際に戦って知る必要がある、ということらしい。
「巨人のことなら私がいくらでも教えてあげるのに。せめて駐屯兵団くらいにしときなよ」
『ダメです。自分の目で確かめないと』
「壁外はお前が思ってるほど甘っちょろい場所じゃねぇがな。団長兼兄貴はどう思ってんだ？」
Aには安全な地で平和に暮らしていてほしい。自分とは違い、結婚して子どもを産み幸せな家庭を築いて長生きしてほしい。
一方で、Aの進みたい道に行かせてあげたいと思う自分もいる。さらに、自分の目の届く範囲に置いておけば中央憲兵からAを守ることができる。
兄としてどうするべきか。悩んだ末に俺が選んだ答えは…
「知りたいものがあれば見に行けばいい、それが調査兵団だ。Aの入団を歓迎するよ」
『ほんとに⁉︎いいの⁉︎』
「ああ、もちろんだ。それに、Aの技術力があれば巨人を駆逐することができるかもしれない」
多分これが本心だ。リヴァイを調査兵団に勧誘した時のように、あたかも人類のためとでも言うかのようにAを騙した。
Aが最強の武器を作り、人類最強のリヴァイがそれで巨人を倒す。そんなシナリオが現実になれば、父との仮説を確かめることができる。
俺は守ってあげたいと思っていた妹でさえも、自分の夢のために利用してしまうのか…
それから5年後、訓練兵を卒業したAが調査兵団に入団した。
成績表を見るに、技巧術はもちろんのこと、他の成績も悪くない。協調性を除いて。
体力面を心配していたが、本人なりに努力したんだろう。卒業時の順位も9番だった。
入団後のAは持ち前の技術力で着々と周りの信頼を得ていった。当の本人は興味がなく全く気づいていないのが勿体ない。
壁外で俺が巨人に右腕を喰われたとき、Aはその巨人をズタズタに倒してしまった。
普段の大人しいAからは想像もできないほどの素早い動き、そして殺意のこもった目。あんなAを見るのは初めてだった。
その後も何体も巨人を倒していくAの姿はまるでリヴァイやミカサのよう。
今思うとあれは、アッカーマンの血によるものだったのだろう。
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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます！原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね（汗） (12月7日 12時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです！訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか？ (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます！不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです！更新頑張ってください！ (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください！ (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年11月2日 12時
