第？話 溺愛 ページ30
※スピンオフ。読み飛ばしても本編に影響ありません。
《エルヴィンside》
20歳になった頃、母から1通の手紙が届いた。その手紙には衝撃的な内容が書かれていた。
「妹が生まれた」と。
父は自分が幼い頃に亡くなり、母ももう若くはない。一体どういうことか確かめるため、次の非番の日に実家に帰ることにした。
家に帰るとゆりかごが置いてあるのが目に入る。その中には小さな赤ん坊が寝ていた。
母の話によると、この赤ん坊は友人の子どもで、両親共に亡くなったため引き取ったということらしい。
両親の亡くなった経緯は悲惨なもので、この子にはもう血縁者は誰もいない。
寝ている赤ん坊の手にそっと指を近づける。触れば壊れそうなほど小さな手で指をぎゅっと握ってくれた。
生きるか死ぬかの殺伐とした日々の中に現れた小さな命。
この子を何があっても守ってあげたい。実の妹でなくとも、そう思えるほどに小さく愛おしい存在だ。
「よろしくな、A」
それからは「自分の夢のため」に加え、Aに会うために壁外で必死に巨人と戦うようになった。
非番のたびに家に帰りAの世話をする。これがこの上ない幸せだ。
まだ俺が兄とはわかっていないAだが、抱き上げると嬉しそうに笑ってくれる。
母から可愛がりすぎだと言われるほどに可愛がっている。自覚もある。
Aが3歳頃のこと、家に置いてある工具に興味を持ち始めた。危ないからと取り上げるとAは大泣き。仕方なく目の届く範囲で使わせるようにした。
それからというもの、あらゆる物を工具で分解するようになった。子供用の玩具を与えてもそれすらも分解してしまう。
これには母も手を焼き、分解するならきちんと元に戻すよう言いつけた。そこからは分解と組み立てを繰り返していった。
Aによると分解するのは、どうやってできているのか知りたいという純粋な探究心から来るのだと判明した。
この探究心は伸ばしてあげるべきだ。そう思い、Aに文字を教え、知りたいことがあれば分解するだけでなく本からも調べるよう促した。
文字が読めるようになったAは本にかじりつき、技術への関心を深めていく。
しかし、Aは自分の世界に没頭するあまり、教室に通うようになっても友達が1人もできずにいる。
本人は気にしていないが、これから社会に出ていくには社交性も必要になってくる。
これは兄として何とかしてあげなければならない。
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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます！原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね（汗） (12月7日 12時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです！訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか？ (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます！不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです！更新頑張ってください！ (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください！ (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年11月2日 12時
