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第78話 海辺 ページ29

降り積もっていた雪が溶け出した頃、兵団はウォール・マリア内の巨人は全て掃討されたと発表。


街道の舗装事業が開始され、トロスト区襲撃から1年が経過した頃、シガンシナ区を拠点とした住民の入植が許可された。


そして、調査兵団は6年ぶりとなるウォール・マリア外への壁外調査に出発した。


ウォール・マリア内に入っていた巨人がほとんどだったようで、巨人の姿を全く見かけない。


道中に遭遇したのは手足の短い巨人1体だけ。長い時間をかけて這って壁まで進もうとしたようだ。巨人の後ろに続く削れた地面には草木が生えている。


害はないと判断され、この巨人はそのまま放置して目的地に向かった。


草木のない砂地に出ると高い壁のようなものが見えた。エレンによると、ここでエルディア人は巨人されたらしい。


近くの丘を登るとその先にあったのは…


どこまでも広がる青い湖…いや、「海」だった。


全員で下まで降りて海に近づいてみた。


『これが、海…』


靴を脱いで海に入っていくアルミンたち。その後ろで、美しく輝く海をぼんやりと眺める。


『この景色、エルヴィンにも見せてあげたいなぁ…』


「あいつなら見てる。俺たちをどんな時でも、ずっと」


『そうだといいな……』


エルヴィンだけじゃない。ミケやモブリット、技術班のみんな…みんなが捧げた心臓があるから、私たちはついにここまで辿り着けた。


死んでいった仲間たちはいつでも私たちを見てくれている。ならば、生きている者はそれに応えなければならない。


左の胸ポケットにしまってあるエルヴィンのループタイを服の上からぎゅっと握りしめた。


「うへぇ、これ本当に全部塩水なの⁉︎あっ!何かいる!」


「おい、ハンジ!毒かもしれねぇから触るんじゃねぇ!」


「えぇー大丈夫だって。ほら、Aも見て見て!」


水の中に何かを見つけてはしゃぐハンジ。なんだか楽しそうで、靴を脱ぎ裾をまくって海に入ってみた。


『これは、生き物?ぶにょぶにょしてる』


「魚とは違うみたいだね。塩水でしか生息できないのかな?連れて帰っていい?」


「Aまで触るんじゃねぇ!汚ねぇだろ!」


水の届かないところで叫んでいるリヴァイを他所に、初めて見る黒い物体に心を躍らせる。


その時、近くにいるエレンが海の向こうを指差し呟いた。


「向こうにいる敵、全部殺せば…俺たち自由になれるのか…?」


エレンの声は湿った風に流されて消えていった。

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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます!原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね(汗) (12月7日 12時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです!訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか? (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます!不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします! (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もう最高に面白いです!更新頑張ってください! (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます!まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください! (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたがし | 作成日時:2023年11月2日 12時

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