第77話 心配 ページ28
ドキドキしながら工房まで歩き、中に置いてあるプレゼントをリヴァイに見せた。
「ほぅ、イスか」
『兵長はベッドじゃなくてイスで寝てると言っていたので、眠りやすいようなイスを設計しました』
今回作ったのは背もたれの傾きを調節して座ったまま眠ることができるイス。足を乗せる台も付けたので、足を伸ばしてくつろげる。
リヴァイに座ってみるよう促した。ゆったりと休めるように座り心地には特に気を配っている。
『…どうですか?眠れそうですか?』
「ああ、悪くない。これから使わせてもらう」
それだけ言うと何食わぬ顔でイスから降りてしまった。
どうして、笑ってくれないの?掃除機をあげた時みたいにまた笑ってほしかった。自分でも上出来だと思ったし自信もあったのに、何で?
いつの間にか胸の動悸は治まっていた。
「お前、最近寝てねぇだろ。何徹目だ?」
『3徹目…くらいです。でも仮眠とったりしてるので、睡眠はとれてます』
「仮眠だけじゃ体は安まらねぇ。それから、手出してみろ」
言われた通りに右手を出すとリヴァイに軽く握られる。指先がじんわりと温かくなってくる。
「冷てぇな。職人にとって手先は命だろ。こんな寒い場所にずっといるからだ」
『ごめんなさい…』
工房に暖炉はない。いつもひんやりしていて、雪が降っている今はコートを着ていても肌寒いと感じてしまうほどの温度だ。
「新兵たちにスパルタ指導してるらしいな。ここから出てくる奴はみんな死んだ顔してやがる」
『自分では厳しくしてるつもりはないです。私の説明が下手で伝わってないだけ』
「誰もがお前みたいに技術に優れてるわけじゃねぇんだ。伝わらないならいちいち構うな。じゃねぇとお前の体がもたねぇぞ」
新兵からわからないと言われたら一人一人に詳しく説明したり、代わりに自分がやったりしていて正直とても疲れていた。
「来い」
『あっ…イスは?』
「後でエレンたちにでも運ばせる」
リヴァイに腕を引っ張られて工房を出た。連れられた先は自分の部屋。
「寝ろ」
部屋に押し込まれそう告げられる。
ベッドに潜り、後からリヴァイが持ってきた毛布にくるまった。温かい…また胸の鼓動が早くなっている。
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《現在公開可能な情報》
No.32
Aが天才すぎてみんなついていけない状況。説明が下手なのも事実で新兵たちはさらに大混乱。
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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます!原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね(汗) (12月7日 12時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです!訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか? (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます!不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします! (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです!更新頑張ってください! (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます!まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください! (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたがし | 作成日時:2023年11月2日 12時