第72話 勲章 ページ23
アルミンを擁護する私に、フロックは戸惑いの顔を見せる。
「は？何言ってるんだよ？さっき団長の方がよかったって…」
『フロックの言う通り、何でエルヴィンじゃないんだって思ったよ。でも生き返ったとしても、エルヴィンはもう戦えない。新兵たちをたくさん死なせた罪の意識で苦しむ。そんな思いはさせたくないから、もう休ませてあげたい』
「じゃあ、この結果が正しいって言うのか？」
『結果に正しいも間違いもない。後からああすればよかったなんていくらでも言えるんだから、選んだ方を正解にするしかないよ』
フロックは悔しそうに口を噤んだ。決してフロックの意見を否定したかったわけではない。
どちらが正しいとか、そんなもの始めからないんだから。
『フロックには感謝してるよ。エルヴィンを見つけて必死に生き返らせようとしてくれて、ありがとう』
「……ごめん…俺が団長を生き返らせようとしたのは、報復のためだったんだ。俺たち新兵を囮にして殺した地獄を味わってもらおうとして…」
苦しそうに謝るフロック。今度はフロックの手を両手で握った。
『それでも、フロックがエルヴィンを運んでくれたから私はちゃんとお別れできた。もう終わったことだし、謝らないで。それと、毎日ご飯運んでくれてありがとう』
フロックは頬を微かに赤く染めて顔を逸らした。
式が始まり、全員が整列した。調査兵団10名は女王の前に跪いて勲章を授与される。
ヒストリア女王から首に勲章を掛けてもらい、右手にキスをする。
同じようにヒストリアの手を取ったエレンだったが、なかなかその手を離さない。
右にいるエレンをチラリと見た。エレンは何かに衝撃を受けたような顔で固まっている。
これもこの前ハンジが言っていた「そういう時期」なんだろうか。
式が終わってからみんなでエレンにどうしたのか聞いてみても、何でもないと答えるだけ。
それからのエレンはどこか元気がなく、あまり笑顔を見せなくなった。
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
《現在公開可能な情報》
No.30
勲章授与式でのAの位置はリヴァイとエレンの間。一応班長なのでエレンたちよりも階級は少しだけ上。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 402人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます！原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね（汗） (12月7日 12時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです！訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか？ (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます！不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです！更新頑張ってください！ (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください！ (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わたがし | 作成日時：2023年11月2日 12時
