第68話 両親 ページ19
封を開けると、中には手紙が数枚入っていた。すでにもう懐かしいエルヴィンの字にゆっくりと目を通していく。
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Aの実の父はエルヴィンの父の元教え子だった。エルヴィンより5、6歳年上で、何度か会ったことがあるらしい。
父は教室でも優秀な生徒だったようで、若くから工学系の研究者として科学技術の発展に貢献していた。
母は大人しく控えめな人だった。飲食店で働いており、客として訪れた父が母に一目惚れ。
明るく快活な性格の父に母も惚れて2人は結婚。翌年、母は一児を妊娠した。
安定期に入った頃、父に王都から召集がかかった。新しい技術を開発してほしいとの依頼だったらしい。
いつも通りに家を出た父だったが、母の元に帰ってきたのは実験中の事故で死亡したという知らせだけだった。
母は、2人が結婚する前から仲の良かったエルヴィンの母にこのことを伝えた。
エルヴィンの母は自分の夫がそうだったように、中央憲兵に殺されたのではないかと推察。理由はおそらく、優秀な技術者の抹殺と思われる。
その後、未亡人となった母に言い寄る男が現れた。元から狙っていたのか、妊娠中の母にしつこく求婚してくる。
しかし、母は決して首を縦に振らない。そんな母への思いが憎悪に変わり、男は母の背中にナイフを突き立てた。
現場に居合わせたエルヴィンの母が医者を呼んで応急処置をするも母は絶命。せめてお腹の子だけは…と助け出されたのがAだった。
生まれた直後はかなり危険な状態だったが、奇跡的にAは一命をとりとめ、そのままエルヴィンの母が引き取った。
母を刺した男は逮捕されその後の消息は不明。父の件もあり、Aに危険が及ばないよう戸籍はスミス家で登録した。
このことを知っているのはエルヴィンとその母、そして医者の3人だけ。
幼いAに両親のことを話すのはショックが大きすぎる。Aが大きくなってから話そうとエルヴィンは思っていた。
しかし、Aが実の父と同じ工学系に興味を持ち始め、夢中になっている姿を見ていると本当のことを言いづらくなってきた。
純粋に物作りを楽しんでいるAに、技術者だった実の父は技術を発展させたために殺されたなどと言ってしまえば、Aの夢を壊してしまう。
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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます！原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね（汗） (12月7日 12時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです！訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか？ (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます！不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです！更新頑張ってください！ (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください！ (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年11月2日 12時
