冬に春 ページ5
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深夜のコンビニ。急な欠勤で伸びる勤務。
急な休憩に、癒しの野良猫。
めっきり寒くなった夜にのぼっていく白い息が、吸えないタバコをふかしてるみたいで楽しい。
にゃおーんと鳴きながら私の差し出した缶詰めに近寄る野良猫を見守る。
膝を抱えてしゃがみこむ暖の取り方は冬らしくて好き。
冷たいコンクリートに置いたあったかい紅茶と、廃棄寸前だった少しぬちゃついた肉まん。
「おいしいでしょー今日はいつもよりちょっといいやつにしたよーいいなーハーゲンダッツ食べたいな、やっぱり冬のアイスって格別だよね」
野良猫に話しかける孤独のコンビニ店員。
ご飯中はにゃおんとも鳴いてくれないからただのひとりごと。
猫の背中に影が重なってハッとする。
「かわいっすね」
「あ、コンバンハ」
ぎこちない挨拶を交わす相手は王子。
カウンター越しではないレア王子。
長い脚が果てしなく天まで届きそうな王子。
「野良ですか？」
「たまに餌あげてるんです」
「へーめっちゃかわいい」
どう考えても猫に対しての言葉をポジティブに受け止めてありがとうございますと心の中で間違ったキャッチボール。
「名前決めてます？」
「…ねこ」
「まんま(笑)」
"屈託のない笑顔" 選手権、優勝おめでとうございます。
少し気を抜いてしまえば一気に崩れていく平穏は今日も見事にぶち壊されて、
「触っても大丈夫かな」
誰に問うでもない言葉をぽろりと呟きながらしゃがみ込む王子。
帽子からはみ出た艶やかな黒髪が揺れて、ひとつも感じ取れなかったけど、勝手にいい香りを想像した。
フローラルでもムスクでもない、なんとも言えない香りを勝手に想像して、横顔を眺める。
にゃお〜んと鳴いた猫に微笑む横顔はそこだけ春を迎えたみたいにあたたかい。
「うまかったー？」
にゃお〜んと猫が鳴いて王子が笑う。
王子が笑って猫に癒されてる姿に癒される。
スッと立ち上がった王子と、王子にだけにゃおんとお礼を告げて去った猫。
取り残されたコンビニ店員は頭上遥か上の王子を見上げた。
「んじゃおやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
いい夢見ろよ、って本人に伝えられそうな瞬間が来るとは夢にも思わなかった。
言うわけないけど。
「またね〜」
振り返らない王子の背中に、平常心。
【第五夜】
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haco.(プロフ) - ゆうもさん» コメントの勢いがもうすごくうれしいです！心臓バクバクしてます！ありがとうございます。またぜひ読んでやってください！ (2023年2月23日 2時) (
レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうも(プロフ) - 最高でした！大好きです！お忙しいかと思いますが、また新しい作品待ってます！！ (2023年2月23日 2時) (レス) @page50 id: f486a97741 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - さきさん» こんにちは！お返事遅くやってしまってすみません。コメントとってもうれしいです！お気遣いまでありがとうございます。さきさんも寒い日が続きますがお身体にお気をつけてお過ごしください^^ (2023年1月28日 2時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - はじめまして。前作から密かに読ませていただいている者です。あまりコメントはしない主義なのですが、haco.様の自然体な物語が本当に私のツボどんぴしゃで、想いをぶつけたくなりました…！（笑）大好きなお話です♡寒い日が続きますがお身体に気をつけてくださいね。 (2023年1月20日 18時) (レス) id: b9469589f4 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - ちょこさん» お褒めの言葉、ありがとうございます^^普段読まれないジャンルなのに！と思うと胸が熱いです。恋って始まりが一番楽しいよなってことで、拙い言葉ですがそこを大事にできたらと思っております^^また読みに来てやってください！ (2023年1月10日 4時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haco. | 作成日時：2023年1月6日 3時
