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「ちょっと予想以上に寒いな！(笑)」
「私なんか家から取ってきましょうか」
「んははは！や、大丈夫ですありがとうございます」
「あ！じゃあちょっと待っててくださいね」
王子をベンチに残して小走りで向かうは暗闇で心細げに光を放つ自販機。
なぜかお財布には5000円札と、120円。
こんな時に限って！
「目黒さん目黒さん目黒さん」
「はい(笑)」
「あったかいですよ！」
「んははは！ありがとうございます(笑)」
自信満々にお届けした缶カンのおしるこに、目黒さんは大笑い。
私のお財布事情で残念ながらひとつしか買えなかった、一番安いおしるこ。
「あったけぇーあ、俺下持つんで上んとこAさん」
「ふぁ〜」
ひとつのおしるこをおとな二人の両手が包む。
私の小指に重なる王子の親指が、ちゃんと男の人の手でこれまたキュンとする。
さむいね、
なんて言って笑い合える関係だったらどれほどエモい夜だっただろう。
「シンプルにビールはミスった(笑)」
「次は熱燗ですね」
「や、まじで学びました」
「おしるこにこんな感謝することも今後ないですよ」
「確かに(笑)次やる時はもうちょっとあったかくなってからが良いっすね」
目を細めて笑う王子の顔を盗み見て、やっぱり心はポカポカする。
こんな寒い日じゃ、それがよくわかる。
「明日急遽休みになって、まじか！ってテンション上がってそのままのテンションでビール買って、Aさん巻き込んで、今なんすけど(笑)」
「ほう」
「まじで無計画すぎたなって反省してます(笑)」
「全然です」
「カイロとか買えましたもんね、コンビニで(笑)」
「これも思い出です」
王子はまたくっしゃくしゃの顔で笑って、
確かにこれは忘れない
なんて言う。
こんなにも楽しい夜を、
何年ぶりかに滑った滑り台の冷たさを、
おしるこのぬくもりを、
王子の手の大きさを、
忘れないようにいたいなと思う。
「え、目黒さん待って」
「え？わ、くっさ！(笑)」
「手がめっちゃ鉄の臭い！」
「うわ俺もだ(笑)」
思い出はにおいに結び付くらしいけど、
この鉄の臭いは今夜をきっかけに、王子との思い出のにおいになったりすんのかな。
それは、やだな(笑)
【第二十一夜】
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haco.(プロフ) - ゆうもさん» コメントの勢いがもうすごくうれしいです！心臓バクバクしてます！ありがとうございます。またぜひ読んでやってください！ (2023年2月23日 2時) (
レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうも(プロフ) - 最高でした！大好きです！お忙しいかと思いますが、また新しい作品待ってます！！ (2023年2月23日 2時) (レス) @page50 id: f486a97741 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - さきさん» こんにちは！お返事遅くやってしまってすみません。コメントとってもうれしいです！お気遣いまでありがとうございます。さきさんも寒い日が続きますがお身体にお気をつけてお過ごしください^^ (2023年1月28日 2時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - はじめまして。前作から密かに読ませていただいている者です。あまりコメントはしない主義なのですが、haco.様の自然体な物語が本当に私のツボどんぴしゃで、想いをぶつけたくなりました…！（笑）大好きなお話です♡寒い日が続きますがお身体に気をつけてくださいね。 (2023年1月20日 18時) (レス) id: b9469589f4 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - ちょこさん» お褒めの言葉、ありがとうございます^^普段読まれないジャンルなのに！と思うと胸が熱いです。恋って始まりが一番楽しいよなってことで、拙い言葉ですがそこを大事にできたらと思っております^^また読みに来てやってください！ (2023年1月10日 4時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haco. | 作成日時：2023年1月6日 3時
