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「ビンタはできませんでした」
「んはは、そっか、そうなんすね」
「でもほら、質屋の明細書？はしっかり渡してやりました」
「おお！すげぇ(笑)」
「やー、やっと終わったと言いますか」
「や、もうほんとAさんがいつも通り元気ってだけで俺はほんとまじで安心しました」
大学の頃から付き合って四年。婚約までした男に浮気された私はようやく今日、すべてを終わらせてきたのだった。
婚約破棄から二年、長かった。
未練はなくともずっと心臓のどこかに引っ掛かる何かが、今日でスッと消えた。
おまけに王子にも会えた。
こんな幸せな日はない。
「ありがたいです」
胸を撫で下ろすように出た言葉は、全力の感謝で、まるで肩の力が抜けるようだった。
「おつかれさまです」
「ありがとうございます」
王子がコンビニに現れた日から、少しずつ何かが変わって行って、もう二度と恋なんてしないと思った日々も呆気なく卒業した。
ひさしぶりの片想いは、楽しくて仕方がない。
何もなくてもいい。
会えば元気を貰える人がいるってだけで、世界は見違える。
深々と下げた頭に、王子の手のひらが乗っかったのがわかった。
「ほんと、お疲れ様です」
わしゃわしゃと私の後頭部を撫で付ける大きな手と、頭上に降ってくる王子の楽しそうな笑い声。
よろめいて顔を上げれば、やっぱり楽しそうな顔。
「目黒くん(笑)」
「くん！？(笑)」
「歳上をナメちゃこまるよ」
「んはは！そんな変わらないし」
「やや、変わるよ！」
「俺マジで年齢気にしないんで(笑)」
なにそれ。守備範囲広い系男子？
なんて思ったらやっぱり笑えてきちゃって、くっちゃくちゃにされた髪の毛を整えながら大笑いする。
「ちょっとくらい歳上のお姉さんらしさ出したいです」
「なにそれ(笑)かわいっ」
屈託のない笑顔で肩を窄めて笑う王子は、どこか幼く見えて、私の心の隅々まで沁み渡る。
「そんなん言ってる時点で無理です(笑)」
王子がいれば、全部いい思い出になる。
【第十七夜】
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haco.(プロフ) - ゆうもさん» コメントの勢いがもうすごくうれしいです！心臓バクバクしてます！ありがとうございます。またぜひ読んでやってください！ (2023年2月23日 2時) (
レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうも(プロフ) - 最高でした！大好きです！お忙しいかと思いますが、また新しい作品待ってます！！ (2023年2月23日 2時) (レス) @page50 id: f486a97741 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - さきさん» こんにちは！お返事遅くやってしまってすみません。コメントとってもうれしいです！お気遣いまでありがとうございます。さきさんも寒い日が続きますがお身体にお気をつけてお過ごしください^^ (2023年1月28日 2時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - はじめまして。前作から密かに読ませていただいている者です。あまりコメントはしない主義なのですが、haco.様の自然体な物語が本当に私のツボどんぴしゃで、想いをぶつけたくなりました…！（笑）大好きなお話です♡寒い日が続きますがお身体に気をつけてくださいね。 (2023年1月20日 18時) (レス) id: b9469589f4 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - ちょこさん» お褒めの言葉、ありがとうございます^^普段読まれないジャンルなのに！と思うと胸が熱いです。恋って始まりが一番楽しいよなってことで、拙い言葉ですがそこを大事にできたらと思っております^^また読みに来てやってください！ (2023年1月10日 4時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haco. | 作成日時：2023年1月6日 3時
