朝が来る ページ25
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「いらっしゃいませー」
残り数分の勤務時間。イレギュラーのシフト。
眠い目を擦って入り口に目をやれば、まだ薄暗い空を背に見慣れたシルエット。
相変わらずのランウェイ。
少し乱れた髪は寝癖だろうか。
「はようざいます」
「早いですね」
「まさかいると思わなかったから目ぇ覚めました(笑)」
「私もあとちょっとで寝ちゃうところでした(笑)」
肩を窄めて笑う王子は、こんな朝から仕事だなんてお忙しい。
「今日何時なんですか」
「あ〜、あ、もうあがりです」
「おお、ギリすね(笑)外で待ってます」
「お？え、仕事大丈夫ですか」
「迎えまで少しかかるらしいんで、待たせてもらっていいですか」
「あ！じゃあ急いで帰りの支度してきます！」
入れ違いに出て行った店長とバトンタッチで、私はそそくさと帰り支度を急いだ。
遠くの方がうっすらとオレンジ色に明るいまだ朝にも満たない朝は、王子が待つあのいつもの電柱さえも、なんだかいつもと違って見える。
私に気付いてイヤホンを外す王子はやっぱりかっこいいな。
「お待たせしました」
「ふはは！今日いつもよりもっこもこであったかそうすね」
「朝の方が寒いと思って(笑)」
「まじであったかそう」
笑った王子の口からは白い息が上って消える。
「なんかぬいぐるみみたい」
「悪口言われました？(笑)」
「や、褒めました、まじで(笑)」
慌てたように手をブンブンと振って楽しそうに笑う王子の背中にもオレンジが忍び寄る。
「そろそろ行かなくて大丈夫ですか？どこか知らないですけど」
「向こうのほうに迎え来てもらうんで、Aさんの帰る背中見送ってから行きます(笑)」
「ええ！(笑)」
「送れないんで、こっからもうめっちゃ見送ります(笑)」
「じゃあお言葉に甘えて」
青になった信号を確認して王子に軽く手を上げた。それと同時に少し後ずさる王子。
「お仕事がんばってくださいね」
「Aさんもゆっくり休んでたくさん寝てね」
ひらひらと手を振る王子。
朝陽が王子を照らして、まるで天国にいる気分。
まるで夢でも見てる気分。
少しずつ離れていく距離に、刺さるほど冷たい朝の空気。
なんだか今日のこの日は、ずっと忘れないような気がする。
「いってらっしゃーい」
「うわ、いいな。行ってきます！」
くっしゃくしゃの顔で笑っていつもの何倍も大きく両手で手を振ってくれる王子は、朝陽がよく似合って、どこまでもまぶしい。
【第十六夜】
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haco.(プロフ) - ゆうもさん» コメントの勢いがもうすごくうれしいです！心臓バクバクしてます！ありがとうございます。またぜひ読んでやってください！ (2023年2月23日 2時) (
レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうも(プロフ) - 最高でした！大好きです！お忙しいかと思いますが、また新しい作品待ってます！！ (2023年2月23日 2時) (レス) @page50 id: f486a97741 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - さきさん» こんにちは！お返事遅くやってしまってすみません。コメントとってもうれしいです！お気遣いまでありがとうございます。さきさんも寒い日が続きますがお身体にお気をつけてお過ごしください^^ (2023年1月28日 2時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - はじめまして。前作から密かに読ませていただいている者です。あまりコメントはしない主義なのですが、haco.様の自然体な物語が本当に私のツボどんぴしゃで、想いをぶつけたくなりました…！（笑）大好きなお話です♡寒い日が続きますがお身体に気をつけてくださいね。 (2023年1月20日 18時) (レス) id: b9469589f4 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - ちょこさん» お褒めの言葉、ありがとうございます^^普段読まれないジャンルなのに！と思うと胸が熱いです。恋って始まりが一番楽しいよなってことで、拙い言葉ですがそこを大事にできたらと思っております^^また読みに来てやってください！ (2023年1月10日 4時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haco. | 作成日時：2023年1月6日 3時
