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「や、また送ってくんで全然いいんですけど(笑)まじで夜道危ないですから、ほんとに(笑)」
「や！もう目黒さんはお帰りください」
「無理です(笑)」
王子はそのまま私を通り越して、行きますよって振り返る。
主成分王子って感じなのかなってくらいにどこから見ても王子でしかない王子。
「え、ほんと」
「だめですだめです、まじでだめです、え、だって俺のためにここまで来てくれたんすよね？」
「自分のためです！」
「だめです(笑)帰りましょ」
王子が爽やかをギュッとしてパッとしたみたいな顔で笑うから、まだ整い切ってない呼吸がまたも乱れそう。
「じゃああそこの角まで」
「玄関閉めるまでが帰り道なんで」
「あそこの角曲がったら10秒です」
「そんなに？(笑)」
「もう今罪悪感すごいですもん」
「アハハ！めっちゃしょんぼりしてる(笑)」
「角まで！！」
大きく笑った王子は渋々折れてそれを承諾してくれた。
ただでさえ贅沢な夜に、この上ない夢見心地の帰り道。
何を話すでもなく、少しぎこちない静かな時間。
あたりの街灯すらイルミネーションみたいにキラッキラに見えるほどで、今にも地面から浮き上がりそうな足。
恋をするって、胸ボンババボンだな。
「では、本当にありがとうございました」
「もうここまで来ちゃったら家の前も変わらない」
「あ！強行突破しようとしてる！」
「ふふ(笑)俺的には計画通りです」
「目黒さんどんどん帰るの遅くなるじゃないですか」
「明日ひっさびさのオフなんで大丈夫です」
「尚のこと早く帰ったほうがいいやつですよそれ」
「俺帰ったらベランダで星見るんですけど」
「ほ？」
「帰り道に星見ながら帰るんで大丈夫です」
「なにそれ(笑)」
「はい、玄関のドアを」
「はい、閉めるまでが帰り道ですよね！胸に刻みました！」
「ハハッ(笑)ほら、家の前も角もそんな変わらない」
「ありがとうございました」
「こちらこそありがとうございます、んじゃあ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
あんなにも早く帰ることを推奨していたくせに、名残惜しさに引っ張られながら階段を登る。
階段の途中で振り返れば王子がまたも小さくお手振り。
「ばいば〜い」
ゆるくてやわらかい声が小さく聞こえた。
ばいばいって、こんなに胸がキュンとなる言葉でしたっけ？
ばいばいって、こんなに距離を縮める言葉でしたっけ？
だめだ。
恋をすると、何もかもがまぶしい。
【第十三夜】
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haco.(プロフ) - ゆうもさん» コメントの勢いがもうすごくうれしいです！心臓バクバクしてます！ありがとうございます。またぜひ読んでやってください！ (2023年2月23日 2時) (
レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうも(プロフ) - 最高でした！大好きです！お忙しいかと思いますが、また新しい作品待ってます！！ (2023年2月23日 2時) (レス) @page50 id: f486a97741 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - さきさん» こんにちは！お返事遅くやってしまってすみません。コメントとってもうれしいです！お気遣いまでありがとうございます。さきさんも寒い日が続きますがお身体にお気をつけてお過ごしください^^ (2023年1月28日 2時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - はじめまして。前作から密かに読ませていただいている者です。あまりコメントはしない主義なのですが、haco.様の自然体な物語が本当に私のツボどんぴしゃで、想いをぶつけたくなりました…！（笑）大好きなお話です♡寒い日が続きますがお身体に気をつけてくださいね。 (2023年1月20日 18時) (レス) id: b9469589f4 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - ちょこさん» お褒めの言葉、ありがとうございます^^普段読まれないジャンルなのに！と思うと胸が熱いです。恋って始まりが一番楽しいよなってことで、拙い言葉ですがそこを大事にできたらと思っております^^また読みに来てやってください！ (2023年1月10日 4時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haco. | 作成日時：2023年1月6日 3時
