その全てに名前をつけたい ページ2
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少し荒れた店内。事務所から慌てて飛び出してきた大学生の鈴木くんがあわあわと散らばった商品を棚に戻す。
「Aさん大丈夫っすか、え、ほっぺあざになってます」
「痛かったもんなあ…」
「裏行ってください、あがっちゃってください」
指先が冷たい。
平然を装っても意外と怖かったんだな、ビビってたんだなって、事務所の鏡に映る自分の顔を見てハッとした。
お目当ての品がないからって当たり散らす酔っ払いのおじさんに投げつけられたペットボトルは頬を直撃。
何も言い返せなかった自分も、こんな痛々しい頬を眺めて涙を流す自分にも、全部が悔しい。
だからやっぱりまだ働こう。
散乱した棚の前でテキパキと動き回る鈴木くんに声をかける。
「大丈夫でした」
「え？」
「あと少しなんで最後まで働きます」
「いやいやどうせ暇だし早く家帰って冷やしたほうがいいっすよ」
店の奥でふたり、"帰れ"と"残る"を言い合うだけ。
「うわ」
後ろから聞こえた声にハッとして振り返れば王子が散乱する商品に驚きの声を漏らす。
いつのまにかのご来店。
「あ、すいません、」
通行の邪魔で、
商品散乱してて、
いらっしゃいませも言えなくて。
いろんな思いをこめた謝罪は流れるように聞き流された。
「あ、じゃあAさんレジやって上がっちゃってください」
「せめてここが片付くまで」
「すぐなんで！まじで！あ、レジお願いします」
レジ前に立つ王子がこちらを振り返ったのを確認して、鈴木くんに催促される。
催促されずとも、ハイただいま！
「お待たせしました」
大丈夫。これで平常心。
王子に会って全てがリセットされたみたいに心がスッと落ち着いて、沈静効果。
よかった。来てくれてよかった。
「え、血」
「え？」
「大丈夫ですか」
イヤホンを外す仕草がかっこいい人ナンバーワンの称号をあげたいくらい。
チラリと振り返って散乱したお菓子の異常さと、私の頬の傷で何かを感じ取るその優しさにも称号をあげたい。
「ここ」
「大丈夫です、お騒がせしてすみません」
「いや俺は大丈夫です」
「あ、レシートのお渡しです、ありがとうございました」
腑に落ちないような眼差しと、引き際を知っている大人な空気でスッとイヤホンをはめながら去っていく。
今日はいつもの何倍も、
「ありがとうございました〜また会いたいです〜！」
背中に小さく手を振った。
聞こえない声をいいことに、また会いたい気持ちを全力に乗せる。
【第二夜】
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haco.(プロフ) - ゆうもさん» コメントの勢いがもうすごくうれしいです！心臓バクバクしてます！ありがとうございます。またぜひ読んでやってください！ (2023年2月23日 2時) (
レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうも(プロフ) - 最高でした！大好きです！お忙しいかと思いますが、また新しい作品待ってます！！ (2023年2月23日 2時) (レス) @page50 id: f486a97741 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - さきさん» こんにちは！お返事遅くやってしまってすみません。コメントとってもうれしいです！お気遣いまでありがとうございます。さきさんも寒い日が続きますがお身体にお気をつけてお過ごしください^^ (2023年1月28日 2時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - はじめまして。前作から密かに読ませていただいている者です。あまりコメントはしない主義なのですが、haco.様の自然体な物語が本当に私のツボどんぴしゃで、想いをぶつけたくなりました…！（笑）大好きなお話です♡寒い日が続きますがお身体に気をつけてくださいね。 (2023年1月20日 18時) (レス) id: b9469589f4 (このIDを非表示/違反報告)
haco.(プロフ) - ちょこさん» お褒めの言葉、ありがとうございます^^普段読まれないジャンルなのに！と思うと胸が熱いです。恋って始まりが一番楽しいよなってことで、拙い言葉ですがそこを大事にできたらと思っております^^また読みに来てやってください！ (2023年1月10日 4時) (レス) id: 2f18d3cac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haco. | 作成日時：2023年1月6日 3時
