きっと誰もが英雄 3 (ページ6)

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言葉になれないページ6

『………あぁ、こんなのかすり傷でしょ。見てる時間(暇)あるなら技を──』

｢…そうじゃないよ、そうじゃないの！！｣
Aは流れてくる血を拭って、息をついた。
お茶子が少し震えた声で叫んだ。

｢Aちゃん、最近ずっとそうだよ。昨日も、一昨日も、その前も！ぼーっとしてて、怪我することも増えてさぁ…？………うちら、友達でしょ、？仲間じゃないの…？ねえ、頼ってよ…ひとりでいるより、みんなで一緒にいようよ…そのほうが、手伝えることだって、きっと──！｣

『………“手伝う”？…笑わせんなよ』

隠しきれなかった本音は、止まることを知らずにつらつらと流れ出ていく。
いつもなら、きっとすぐに口を噤んで｢ごめん｣と言ったのに。

『おまえら(非術師)が原因のくせに、何言ってんだよ、』
｢───は、？｣
『ぼーっとしてんのは寝不足だよ、それで集中力が削がれてる。自分のことだからね、知ってるよ。でもさ、こっちにだっていろいろあるんだわ、君らよりずーっと忙しいんじゃない？それもこれも全部非術師(君ら)のため。前にも言わなかったっけ。あたし(・・・)これでも政府の人間だからさぁ、迂闊に人に見せれないものとか色々持ってるわけ。全て自分たちが助けられるって思わないほうがいいよ。助けられなかったときに苦しいから。』

あーあ、やっちゃった。上からの小言がまた増えちゃう。

体育館から飄々と、まるでそこがヴァージンロードかと見紛うほど、堂々と歩を進め、校門前に待機させておいた車に乗り込み、別の術師と入れ替わる。
死穢八斎會の件で本部から招集がかかった。それがAの機嫌を悪くさせ、更にストレスがかかり、今に至る。言うまでもなく伊地知潔高の胃は痛むばかり。