きっと誰もが英雄 3 (ページ15)

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凪いだ秋の風ページ15

いつから寝ていたのかさえ記憶がない。今は何月何日で、何をしていたのか。まっさらな天井に独り言ちた。
声を発して誰かに気づいてもらおうと思ったのも失敗で、空気だけが呆気なく喉を通り抜けて消えた。

自分がいなくたって大丈夫だ、なんてクサイ事言っておいてなんだかんだ心配になって、疲労と眠気のなか駆けつけてみた結果がこれだ。下っ端の構成員を殴り倒したはいいものの、ろくに関わったことも何も無いヒーローを身を呈して救った。お陰で腹に傷を負って、それからの記憶が無いということから恐らく気絶でもしたのだろう。

己を顧みずにだれかを救うだなんて、そんなの。

かっこいいね、ヒーローみたい！

嗚呼、本当にそうだよ。呪術師だってのはいつだって頭にあって、呪術師はヒーローじゃないって割り切って今まで沢山見殺しにもしてきたのに、今更罪悪感が込み上げてきて、どうかしちまってんだ。

走馬灯だかなんだか知らないけど、何で今になって鮮明に思い出したんだ。

そりゃ、恨んで当然だよな

看護師が入ってくる音を聞きながら、あの赤い目をした子供が、いつか笑えればいいなと思った。

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