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『……スキン?』
「…………え、あぁ…なに?A」
『ぼーっとしてるから大丈夫かなって。もしかして、どこか痛めた…?』
「…いや、大丈夫。それより、そろそろ帰ろうか。あんまり遅いとボンが心配する」
ベンチに置きっ放しだった荷物を抱えると、スキンはAに向かって微笑んだ。
それに頷いたAは、踵を返して歩き出したスキンの横に並んで歩を進める。
数歩進んだところで道に転がっていたカップは、すでに中身をすべて吐き出してしまっていた。
『……ごめんね、スキン。せっかく飲み物買ってきてくれたのに…』
「あぁ、気にしないで。Aが無事ならそれでいいんだ」
シュンと落ち込んだ様子の彼女の頭を撫でて、スキンはいつものように笑う。
その穏やかな笑みにAも少し笑って、2人はそのままダイナーへと真っ直ぐ戻った。
「………遅い!!ただの買い出しにどれだけ時間をかけるつもりだ!!」
ダイナーへ戻ったAとスキンは、待ちくたびれた様子のボンベロにしっかりと怒られた。
そして案の定、なぜ帰りが遅くなったか律儀に説明するスキンのおかげで、Aはボンベロにこってりと絞られ、"買い出し禁止令"を出されてしまった。
ボンベロの叱責にぐぅの根も出ないAが大人しく禁止令を受け入れたところで、その様子をカウンター席から静かに眺めていたスキンが、ガタンと立ち上がる。
「……それじゃ、俺は帰るよ」
キャップを深く被り直して扉に向かうスキンの背中に、ボンベロが声をかける。
「こんな時間から
「……あぁ。急ぎの案件を思い出したんだ」
「…………ほとほどにな」
なぜか呆れた表情のボンベロと不思議そうな顔のAに手を振ると、スキンは長いコートを翻してダイナーを出て行った。
「……
『……?ボン?』
「お前はもう少し危機感を持て。色々とな」
その言葉に首をかしげるAを見て、ボンベロは大きなため息を吐き出すのだった。
(ーーー後日、首を横一文字に掻っ捌かれたチンピラ風情の2人組の男が路地裏で発見され、猟奇的殺人か、はたまた通り魔的犯行かと話題になったが、結局誰の仕業かは分からず仕舞いのままこの件は幕を閉じた)
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ねこと(プロフ) - omoti_motimoticさん» 素敵なお言葉頂けてとても嬉しいです(*'ω'*)世界観やキャラクターはできるだけイメージを壊さないよう気を付けているつもりなので、そう言って頂けると活力になります!ちょっと停滞してしまってますが更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです♪ (2020年7月7日 2時) (レス) id: c0f23ad842 (このIDを非表示/違反報告)
omoti_motimotic(プロフ) - ああもう素敵すぎます!!dinerの世界観やキャラクターが崩れることなくキュンキュンさせてくださって最高の作品をどうもありがとうございます、、!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 96016ea486 (このIDを非表示/違反報告)
ねこと(プロフ) - えいとちゃんさん» 応援ありがとうございます!また、お気遣いもありがとうございます(*'▽'*)更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです♪ (2019年8月17日 8時) (レス) id: f77f241a94 (このIDを非表示/違反報告)
えいとちゃん(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます!!風邪などに気をつけてください! (2019年8月15日 2時) (レス) id: 7956a8a6f2 (このIDを非表示/違反報告)
ねこと(プロフ) - アリアさん» 応援ありがとうございます!めちゃくちゃ好きだなんて…すっっごく嬉しいです♪更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです(*'▽'*) (2019年8月5日 16時) (レス) id: c0f23ad842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこと | 作成日時:2019年7月28日 22時