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ボンベロに貰ったメモを頼りに、次々と店を回り必要なものを揃えていく。
普段こんな場所に来ることのないAは、店先に並ぶ色とりどりの食材やスパイスを見て、楽しそうに笑っている。
子供のようにはしゃぐAの様子に、隣に立つスキンも穏やかな笑みを浮かべていた。
『…よし!大体買い終わったかな。いっぱい見て回ると流石に疲れるねー』
「そうだな。…そろそろ休憩にしない?」
スキンが指差す先には、路地の片隅に置かれたベンチがあった。
メイン通りから外れ人通りもまばらなあそこなら、人目を気にせず休めるかもしれない。
『うん、そうしよっか』
Aの返事に頷くと、買い出しの荷物を持ったのと反対の手でAの手を引いて歩き出すスキン。
2人で小さなベンチに腰掛けると、自然にはぁ…と息を吐く。
『ボンってすごいよね。いつもこんなたくさんの量の食材、1人で買い出しに来てるんだもんなぁ…』
「はは。ボンだって、腐っても元殺し屋だからね。これくらい軽くこなせるさ」
『…一応、私も"現役の"殺し屋なんですけど?』
そうつっかかってみれば、スキンに笑われた。
"ボンと比べちゃダメだよ。ゴリラとウサギくらい違うんだから"なんて、結構失礼な回答が返ってくる。
『私ももっと体力付けないとなー…筋トレしたら、スキンみたいにムキムキになれるかな?』
「Aはそのままがいいよ」
スキンの鍛えられた二の腕を触りながら零せば、ぽんぽんと頭を撫でられる。
子供扱いされているようで気に入らなくてむくれてみるAだが、スキンはそれすら微笑ましげに眺めていた。
「…そうだ、A。喉乾いてない?」
『そういえば、ちょっと乾いてるかも…たくさん歩いたし。私、なにか買って…』
「いいよ、Aは座ってて。俺が買ってくるから、ここで待っててね」
サッと立ち上がると、スキンはAの頭をひと撫でして、露天の並ぶ市場の方へ駆けて行ってしまった。
相変わらず自分を甘やかしてくれるスキンに苦笑して、Aはゆったりと待つべくうーんと伸びをする。
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ねこと(プロフ) - omoti_motimoticさん» 素敵なお言葉頂けてとても嬉しいです(*'ω'*)世界観やキャラクターはできるだけイメージを壊さないよう気を付けているつもりなので、そう言って頂けると活力になります!ちょっと停滞してしまってますが更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです♪ (2020年7月7日 2時) (レス) id: c0f23ad842 (このIDを非表示/違反報告)
omoti_motimotic(プロフ) - ああもう素敵すぎます!!dinerの世界観やキャラクターが崩れることなくキュンキュンさせてくださって最高の作品をどうもありがとうございます、、!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 96016ea486 (このIDを非表示/違反報告)
ねこと(プロフ) - えいとちゃんさん» 応援ありがとうございます!また、お気遣いもありがとうございます(*'▽'*)更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです♪ (2019年8月17日 8時) (レス) id: f77f241a94 (このIDを非表示/違反報告)
えいとちゃん(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます!!風邪などに気をつけてください! (2019年8月15日 2時) (レス) id: 7956a8a6f2 (このIDを非表示/違反報告)
ねこと(プロフ) - アリアさん» 応援ありがとうございます!めちゃくちゃ好きだなんて…すっっごく嬉しいです♪更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです(*'▽'*) (2019年8月5日 16時) (レス) id: c0f23ad842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこと | 作成日時:2019年7月28日 22時