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「…やぁ、ボン。何って、食事をしに来たに決まってるじゃないか」
しれっと悪びれる事なく答えるスキンは、Aに抱きつくのをやめたものの、その手はまだAの肩に触れていた。
それを見て、ボンベロの眉間の皺はだんだんと深くなる。
「なら、部屋で待っていろ。カナコ、案内を!」
「は、はいっ!」
不機嫌をあらわにしたボンベロに凄まれて、カナコは蛇に睨まれたカエルのようになっている。
「…じゃあまた後でね、A」
スキンは去り際にAの頬をひと撫ですると、カナコの後についてホールを出て行った。
『ボン、顔こわいよ?』
「………うるさい。元からだ」
後ろに立っているボンベロの顔を覗き込めば、悪態をついたままくるっと回れ右して、厨房へと姿を消してしまった。
ホールに1人残されたAがどうしたものかと思案していると、スキンを送り届けたカナコがとぼとぼと戻ってくる。
『お疲れ様、カナコちゃん』
「Aさん……」
Aを見て足を止めたカナコは口元に手を持っていき、何かを言おうかどうしようかと迷っている様子だ。
『どうしたの?…スキンに何か言われた?』
「あっ…あの……スキンがAさんを呼んできて、って……でも、ボ…ボンベロ、が…」
先ほどの2人の様子を思い出しながら、カナコは言いづらそうに口を開いた。
客であるスキンの要望は聞かなきゃいけないけど、ここの王であるボンベロの逆鱗には触れたくない。
そんな考えがありありと見てとれて、思わずAは苦笑する。
『ごめんね…あの2人仲は良いはずなんだけど、たまにああやって刺々しいんだよね』
「ど、どうしたらいい…ですか?」
『ボンベロなら大丈夫。とりあえず、私はスキンのところに行ってくるね』
そう言うとAはカナコの肩をぽんぽんと軽く叩いて、スキンの部屋に向かうべくホールを出て行った。
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ねこと(プロフ) - omoti_motimoticさん» 素敵なお言葉頂けてとても嬉しいです(*'ω'*)世界観やキャラクターはできるだけイメージを壊さないよう気を付けているつもりなので、そう言って頂けると活力になります!ちょっと停滞してしまってますが更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです♪ (2020年7月7日 2時) (レス) id: c0f23ad842 (このIDを非表示/違反報告)
omoti_motimotic(プロフ) - ああもう素敵すぎます!!dinerの世界観やキャラクターが崩れることなくキュンキュンさせてくださって最高の作品をどうもありがとうございます、、!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 96016ea486 (このIDを非表示/違反報告)
ねこと(プロフ) - えいとちゃんさん» 応援ありがとうございます!また、お気遣いもありがとうございます(*'▽'*)更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです♪ (2019年8月17日 8時) (レス) id: f77f241a94 (このIDを非表示/違反報告)
えいとちゃん(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます!!風邪などに気をつけてください! (2019年8月15日 2時) (レス) id: 7956a8a6f2 (このIDを非表示/違反報告)
ねこと(プロフ) - アリアさん» 応援ありがとうございます!めちゃくちゃ好きだなんて…すっっごく嬉しいです♪更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです(*'▽'*) (2019年8月5日 16時) (レス) id: c0f23ad842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこと | 作成日時:2019年7月28日 22時